これから
「…俺は具体的にどうすれば…」
食事の後、島を散歩ということで船を下りて白い砂浜を三人でゆっくりと散歩をする。
そして適当な場所で、イスに座って日光浴。
普通にバカンス。
俺だって楽しみたいけど、できれば帰りたい。
まひるは飽きないのか、
椅子にもたれてうっとりと波に見入っている。
でもその両の腕は重厚な手錠につながれ、白い砂浜に鎖の跡を残している。
「さい君は海って嫌いなのか?」
「好き。女の尻があればもっと好き。
楽しみたいけど、一応任務みたいなのがあるからな」
まひるの華奢な太ももにも惹かれるけど、という鞘さんに殺されそうな発言はしっかりと胸の小箱に隠して、
俺は…砂浜に座っていた。
っていうか何で俺だけ椅子がないんだよ。
やっぱ特別待遇は本家血族だけなのか。
「具体的には…と申されましても、それを知っているのは私ではなく、道祖土様ご自身が見つけられること。
まひる様の制御法はこういった日常のひらめきに潜んでいるのではないでしょうか?」
にこやかに笑う鞘さん。
そうか、まぁそうだよな。よし、考えよう。
でも、よく分からない。
砂浜には沈黙と波の音が混在していた。
「あー楽しいなぁ。まひる、ずっとさい君と一緒にこの砂浜を見たいなって思ってたのだよ」
俺の思考に割って入ってくるまひる。
でも可愛いから許す、ロリコンではないけど…。
まひるはまぁ高校一年かそこらへんの年齢に見える。
俺は大学二年だから…少なくとも六歳差か。
うーん、ちょっと犯罪かな。
「俺とまひるって、初対面だよな?
どこで俺のこと知ったの?」
「まひるとさい君が出会ったのは運命なのだ」
まひるは波に目を向けたまま、
嬉しそうに、だが当然のように言った。
「まひるはね、さい君のことを考えると、すっごくほっとするの。
まひる、今までわがままって言ったことなかった。だからもし、生涯でわがままを言えるんなら…
最期までさい君と一緒にいたいって言うんだ」
海面に反射する光が、まひるの顔を照らす。
俺は可愛いと思わなかった。
魅力的だとも、胸を打たれたとも、どきっとも
しなかった。
華之宮まひるを、哀れに感じた。
たぶんこの女の子は、俺しか知らないのだ。
男というよりも、人間を。
俺は感受性が強いわけでも、人の気持ちを接することに長けてるってわけじゃないけれど。
俺はまひるの横顔を見て、
そこに孤独を見てしまった。
「…鞘さん」
「はい、道祖土様」
俺にしかできないこと、充分なヒントだ。
というか俺にはこれしかできない。
「俺の家財道具のなかから、取り寄せてほしいものがあるんですけど、大丈夫ですか?」
鞘さんは一層笑みを深めて、日没までに取り寄せますと頷いた。
「ね、道祖土様にしかできないでしょう?」
事の次第が飲み込めていないまひるは首を傾げているだけだが、俺は力強く頷いた。




