ダイヨンマク
「狼…?コックリさん……?」
コックリさんは俺がぬいぐるみにつけた名だ。
今のはなんだ?
幻聴か?
鬼を殺すって…俺達がやってるのは一人隠れんぼだよな?
ピルルルルピルルルル
次は家の電話が鳴る。
気づけば携帯も落としていた。
携帯を拾い、家の電話器へ向う。
宛先は見覚えのある番号。
☆也…
「もし、もし…」
『もしもし×樹?今テレビ…』
「お前もか…?さっきの…」
『うん…やっぱ夢じゃないよね…?』
夢じゃない
何で?どうして?
失敗したから?俺が失敗…したからなのか?
冷や汗がこめかみから一筋たれる。
携帯の方からも声がした。
失敗…したんだな………
その言葉はしんとした家に響きわたった。
☆『×樹、実は鬼がいないんだ。家中探してもどこにもいない。もし、見つからなかったら、僕どうなるかな…』
「☆也も?…俺と、□斗も、鬼が消えた。」
□『☆也…?☆也と電話してんのか?なぁ、☆也も俺達みたいに』
「☆也も鬼が消えたって…これってどういうことだよ…」
☆『さっきの放送でさ、鬼は降りたって言ってたよね?一週間以内に鬼を見つけろって…、つまり、さ、その鬼を見つければ終わるって事だろ?』
□『鬼を見つけるって、どうやって鬼を探すんだよ?それに何で俺達のぬいぐるみが消えた?』
☆『さぁ…それは分からないけど、コックリさんに聞けって、』
「ひとまず皆と連絡をとろう。○美と△菜が気になる…」
☆『そうだね』
いったん俺達はお互いに連絡し会うことにした。
俺が○美に電話すると、○美はひどく怯えていて、まともに喋れる状態じゃない。
やはり○美にもあの放送が流れたのだ。
△菜は携帯番号を知らないから、○美に連絡をとって貰うことになった。
結果、明日学校で集まることにした。勿論あんな事をした後だ。眠れるはずがない。
俺ははねあがる鼓動を抑えて、ひとまずベッドに入った。
一人隠れんぼを始めてから二時間以上たってる…なのに俺達はなんともなってない…
やっぱり……うまくいかなかったんだ…
気がつくと陽が昇っている。
勿論一睡もしていない。
風呂場に行くがやはりぬいぐるみの姿は確認できず、なんともいえぬ寒気を感じた。
皆………無事だよな、
その日の登校は実に不快だった。
外に出るのが怖い。
でも家にいるのも怖い…
でも…行かないと、
授業中もさただぼぅ、と外を眺めているだけ
全てが夢のように感じた。
そして放課後、
いつものように旧校舎へ向かう。
ガラガラ
○「×樹ぃ…」
教室には○美が一人だけでうずくまるように座っていた。
そして今にも泣き出しそうな顔で俺の名をよぶ。
「大丈夫か?○美、」
○「怖い…怖かった…、皆捕まってたらって…」
「大丈夫だよ、皆無事だ、」
無事にきまってる
○「もう何がなんだか分かんないよ…」
その時、
ガラガラ
△菜も入ってきた。
△「○美ちゃん!?どうしたんですか?」
入ってくるやいなや俺を無視して○美のもとへ一直線に向かう。
でも助かった、
こういう時は女同士が一番いい…
△「怖いんですか?大丈夫ですよ、私がいますから、」
○「ありがとぉ…△菜…」
○美も少し落ち着いたようだ。
しばらくすると□斗も暗い顔をして教室にきた。
□「×樹…」
「そんな暗い顔すんなよ、男だろ?」
□「うるせぇよ、あれは…ヤバイだろ」
男のくせに弱気になんなよ…
△菜を見習え、
「ヤバくても怯えんな、強気でいろ。」
俺は自分に言い聞かせるように□斗に言卯。そうだ、怯えるな、強気でいるんだ。
鬼を見つければいいんだから、
ガラガラ
☆「皆…もう来てたんだね、」
「☆也、」
☆「じゃあ、昨日の反省会でもしよう、そして、
鬼を見つけよう?」
その一言で俺達は、これは夢じゃないと実感したんだ………