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心の変化 4
この時の記憶は俺には一切ない。
中学生になってから親に聞いた事だ。
当時は単純に可愛らしい子供だと思った。
しかし今は違う。
俺は【孤独好きを偽った寂しがりや】なのだ。
それは独り言の多さが表していると思う。
独り言に気付いたのは高校一年の時だった。
隣の席の女子に言われたのだ。
「郡司君って独り言が多いよね」
俺は普通だと思っていた。
しかし他人には普通には映らないらしい。
考えてみれば小学生の低学年の頃から話し相手がいなかった。
それが独り言に繋がったのだろう。
悪い事に、ここ数年は症状が悪化している。
高校の頃とは明らかに独り言の種類が違っている。
当時の独り言は、本当に完全な独り言だった。
「よいしょ」とか「暑いなぁ」などだ。
最近は架空の相手を作り上げ、話し掛ける様に独り言を言う様になっている。
現場を見られたら、誰もが驚く様な光景だろう。
しかし、今の俺には全く話し相手がいないのだから仕方ない。
いや、今に限った事ではないか。
いつの日か、心から話せる人が現れるのだろうか?
ん、そんな事よりも話を進めなければ・・・。