福田洋子(ふくだようこ) 12
やはり可愛がっていたペットの死は悲しい。
「もう辛い思いをしたくないから、二度とペットは飼わない」
そう考える人がいるのも分かる。
ペットを飼った所で別れは必ず来る。
それに前のペットとの思い出を重ねてしまうかもしれない。
でも俺は機会があれば、また猫を飼いたい。
別れは辛いが、その辛さを乗り越えられるだけの、たくさんの思い出をもらえる。
だからいつか、また猫を飼いたいと思う。
・・・格好悪いな・・・
言っている事と行動が伴っていない。
今の俺は何をしているのだろう・・・。
話しは変わるが高校卒業後、洋子との間には
紆余曲折はもちろんあったが、二人は結婚する事となった。
一九九五年の五月、俺と洋子は結婚をした。
付き合ってから約八年経ったが、実は二人とも体の関係は無かった。
最初は洋子が怖がっていたからだ。
それなら結婚するまでお互いに「初」はとっておこうとなったので、結婚初夜は文字通りの初夜となった。
そして式の二日後にはオーストラリアへと新婚旅行に飛び立った。
オーストラリアは洋子の要望だった。
その頃の俺には行きたい国など無かった。
今ならペルーに行ってみたいが・・・。
オーストラリアではケアンズで買い物をし、今は禁止されているエアーズロックの頂上にも登った。
エアーズロックは唯一の俺の要望だった。
地平線を見るのが夢だったのだ。
頂上から見る地平線は実に綺麗だったし、地峡が丸いという事も実感させられた。
俺は両腕を水平に伸ばして、地平線に重ねながら深呼吸を繰り返した。
旅行から帰ると新車と中古車を一台ずつ購入もした。
式の費用も旅行も車も全てキャッシュだ。
それでも貯金はそれなりの額が残っていた。順風満帆の様に思えた。
ただ影は既に一部を覆っていた。