福田洋子(ふくだようこ) 1
一九八七年の四月。
俺は埼玉北高校に入学をした。
クラスは一年四組で担任は『富田多計志』先生だった。
瑠璃中出身のクラスメートは須賀慎太郎だ。
彼とは小学五、六年の時もクラスメートだったから、全く知らないというわけじゃないが、俺はあまり好いていなかった。
このクラスで新しく出来た一番の仲良しは有江君だろうか。
それ以外なら男子は相吉沢、池田、明彦、はなちょ、女子なら浜田、松本、きけちゃん・・・それから洋子・・・。
入学式終了後クラスに戻った俺達は、慣れない顔ぶれのせいか大人しかった・・・と書きたい所だが、実際は約一名騒いでいた。
俺は一番廊下側の前から二番目の席だった。
俺の前は『菱沼』、俺の後ろは『矢部』と共に男子だった。
俺の左斜め前、いわゆる菱田の隣の女子は『浜田』、俺の隣の女子が『福田洋子』で俺の左斜め後ろ(矢部の隣)の女子が『松本』だった。
斜め前の浜田さんがチョクチョクと振り返り、福田さんや松本さんとおしゃべりしていた。
この時はまだ同じ東中出身の松本さんしか名前を知らなかったので、(松本さん達うるさいなぁ)と感じていた。
しばらくすると担任の先生が入ってきた。
「俺の名前は富田多計志だ。初めて担任を持つ事になった。皆と同じ一年生みたいなもんだからよろしくな。」
そんな辺り障りのない紹介をしてから、出席を取り始めた。
出席を取りながら生徒一人一人の顔を確認していく。
それが終わる頃になってやっと俺は、女子三人衆の内の二人の名前を知った。
(ふ~ん・・・隣の席は福田さんって言うんだぁ・・・未来の事は分からないからなぁ。ひょっとしたらいつかはこの人と付き合ってるかもね)
そんな事を考えていた。
今にして思えば馬鹿な事を考えたもんだ。
この時にそんな事を考えなければ、今は全く違っていたかもしれなかった。
高校生活一週間後、いつの間にか俺も浜田さんや福田さん、松本さんと話す様になっていた。
内容の無い話ばかりだが、それぞれ個性があって面白かったし、何しろ俺自身も異性を気にしだす年頃だ。
女子と話をしていて楽しく無いわけがない。
当然女子だけではなく菱田や矢部とも話す様になり、高校生活も楽しみが増えてきた。
(そういえば今日から部活の体験入部が始まるんだよなぁ。どこにしようかなぁ・・・)
俺は悩んでいた。
(やっぱり中学の頃にやっていたバスケ部が妥当かな。でも才能がないしなぁ・・・。それとも一番好きなスポーツのサッカー部にしようか。でも経験者が多いだろうからハンデがあるしな・・・ここは東中出身者が多く入ろうとしているバレー部にするか。経験者も少なそうだし。でも興味が無いから続かないかも・・・)
どれも決定打に欠けていた。
取り合えず初日は東中の皆と一緒にバレー部に行ってみるか。
そして放課後、体育館へと足を運んだ。