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古い記憶 2

次に古い記憶は四歳の時だ。

それは川崎市から埼玉県北東部にある『瑠璃市』に引っ越す日だった。


家具や電化製品が全て出された部屋は、赤い絨毯が長かった重みから解放された事を喜ぶかの様に、我が物顔で床を占領していた。

靴を脱いで絨毯に上がった俺に「靴は履いたままで良いよ」と母が言ってきた。

日常と違う行動を取る事に子供は過剰過ぎる位に喜ぶもので、その時の俺も例外なくはしゃいでいた。

俺は何も無い絨毯の上を『これでもか!』と言わんばかりに、所狭しと走り回っていた。

こんな俺なんかにも、そんな可愛い時期はあったのだ。

そんな浮かれていた俺の視界に窓の外の景色が写り込んだ。

急に寂しさが広がってきた。


(この景色はきっと二度と見る事は出来ないんだぁ・・・)


幼心に妙に大人びた干渉を抱いていた。

それからはトラックに乗り込むまで、ずっと窓からの景色を眺めていたっけ・・・。


それにしても子供とは、見事な程に『単純』という回路が組み込まれている。

いざトラックに乗り、知らない道を走り始めると、さっきまでの干渉を意図も簡単に押しのけて、高揚感が支配を始めてきた。

『瑠璃市』に入り「あそこに引っ越すんだよ」と遠くに見えてきた団地を父が指を差した時には、数時間前までいた川崎の事なんて欠片も頭になかった。


その団地は道を一本挟んで東側に市営が二十六棟、西側に県営が十二棟並んでいて、平均して一棟につき四十世帯が入る程の当時としてはかなり大きな団地だった。

ただgunnji家が入居した二十号棟は他の棟よりも一回り小さく、二十世帯からなっている棟だった。

その棟の最上階の五○二号室が新たな郡司家だ。


しかし引越し初日に事件が起きた。


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