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二人の恩人 5
その授業が終わった後、ヨッパに呼び止められた。
「郡司・・・何で二問目をお前にやらせたか分かるか?」
「分かりません」
「お前なら出来ると思ったんだ。お前はやれば出来るんだぞ。何故にやらない。現にあの問題を一発で解いたのは、俺が教えてる生徒の中ではお前だけだぞ。もっと自信を持ってちゃんと勉強をするんだぞ」
そう言ってヨッパは去って行った。
俺は単純なのだろうか?
やる気を出させる為の決まり文句とはいえ、実際に難問を解いた直後に言われると、ちょっと真剣にやってみようかなという気になってしまった。
しかし勉強の仕方が分からない。
塾にも行っていなければ、全ての科目の基本も分かっていない。
自信を持って言えるのは九九位のものだ。
そんな時にもう一人の恩人の粕谷一範が登場するのだ。