心の変化 12
(やったぁ! お父さんだぁ。)
そう思いながら振り返ったが、友達のお父さんだった・・・。
そして流石に諦めた。
その時の授業終了のチャイムは何だか凄く寂しかった・・・。
学校が終わってから急いで家に帰った。
父は珍しく家にいた。
「何で今日は来てくれなかったの?」
「行ったけどいなかったぞ」
「四年二組だよ?」
「ちゃんとニ組に行ったよ?」
「正門から入った?」
「あぁ」
「一番奥まで行った?」
「奥? 門を入ったら直ぐに四年二組って書いてあったから、そこのクラスにいったぞ」
「・・・朝、ちゃんと言ったでしょ? 四年二組は二つあるよって・・・」
「そうだっけ?」
「・・・」
これ以上は無駄だという事が幼心にも分かったので、それ以上の追求はしなかった。
あれだけ何度も忠告したのに聞いていなかったなんて、あまりにも酷いと思った。
「仕事明けだったから起きれなかった」と言われた方がよっぽど良かった。
ただ今にしてみれば父は間違えたにしろ、本当に来たのであろうかとも思う。
実はちゃんと話を聞いていて「これは使えるぞ」と思い、授業参観を口実に家を出てパチンコにでも行っていたのでは・・・?
そこまで疑いたくは無い。
ただ流石にもう時効だ。
本人に聞いてみようか・・・?
しかし今となってはそれも出来ない。
父はいないのだ・・・。