心の変化 11
そして授業参観の直前の休み時間。
友達の父親達が続々と教室に入ってくる。
「あれは誰のお父さん?」
そんな声が間断なくあちらこちらから耳に入ってくる。
(早くお父さん、来ないかなぁ・・・)
俺は待ちどうしかった。
しかし父はなかなか来ない。
(ひょっとして寝てるのかなぁ・・・早くしないと授業が始まっちゃうよ・・・)
もちろん授業中に入る事も全く問題ないのだが、俺としては開始からいて欲しかった。
成績が良いわけでもなく、手を挙げる事すらないかもしれない。
それでも父に見ていて欲しかった。
俺の心の焦りが時間にも伝わってしまったのだろうか?
時計も授業開始のチャイムを鳴らす事を急ぐ様に、あっという間に休み時間は終わり、授業が開始された。
父はまだ来ていない。
(でも大丈夫。授業は四十分もあるんだ。終わるまでには絶対に来るさ。)
しかし無常にも時間は過ぎていく。
遅れてきた人がドアを開ける音が響く度に後ろを振り返ってみる。
父ではない。
何でもない時でも振り返り父の姿を探す。
やはり父はいない。
それでも待った・・・ずっと待った・・・。
必ず来てくれると信じてずっと待った。
授業も残り五分となったその時、「ガラガラ」とドアが鳴った。