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初雪と括弧  作者: seolremdal
23/31

第23話: 手放すべきものを、つかみ続ける手



MTから戻ってから、

ジウは少し変わった。


避けているわけではなかった。

それよりも、もっと静かな何かだった。


講義室の一番前の席に座り、

うつむいたまま、ひたすらノートを取っていた。


名前を呼ばれれば、

返事はする。


けれど、

目は合わせなかった。


それが、むしろ不自然だった。


もし恨んでいるのなら、

まだ読み取れたはずだから。


ある日、空いた講義室だった。


廊下を通り過ぎようとして、

ドア越しにジウの姿が見えた。


スジンと並んで座り、

ノートパソコンの画面をのぞき込んでいた。


足が止まった。


以前なら、

そのまま通り過ぎていただろう。


スジンがいる場所には、

入り込む隙がないと思っていたから。


でも今は知っていた。


二人が従姉妹だということを。


ドアを押して中に入った。


二人が顔を上げた。


ジウの目が、

ほんの一瞬だけ揺れた。


「何してるんですか?」


「履修登録です。」


ジウは短く答えた。


彼はそっとノートパソコンの画面を見下ろした。


時間割が開かれていた。


「二人でいると、

方言が出ますね。」


ジウがわずかに固まった。


スジンが小さく笑った。


彼は画面から目を離さないまま言った。


「今学期が終わったら、

もう僕の授業ないでしょう。」


ジウは答えなかった。


「また取ってください。

Fをあげます。」


冗談のように言ったが、

声は冗談ではなかった。


ジウがゆっくり顔を上げた。


目が合った。


彼は、

視線をそらさなかった。


隣でスジンが、

静かに座り直した。


誰も笑わなかった。


その日から、

彼は以前より頻繁に現れた。


廊下で、

講義室の前で、

学科事務室の近くで。


あまりにも

偶然のように。


ジャケットの内ポケットへ向かう左手は、

相変わらず癖のように動いた。


そして、また戻るとき、

その手はいつも空だった。


ジウは

その手を見なかった。


見る必要がなかったから。

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