この時期になると……
この時期になると いつも思い出すことがある
小学生のころの少し苦い記憶
私にも誰にも きっと罪はなかったからこそ
清算も発散もされず行き場をなくしたのだ
当時の私は学童保育に通っていて
放課後になると よくそこで過ごしていた
学校の敷地にある一階建ての施設で
いつも薄暗くてジメジメしていた気がする
そこの先生は還暦手前の風貌で
いつも忙しそうにしている おばさんだった
ブツブツ喋ってムスッとした顔で怖かったが
怒鳴ったり打ったりしない優しい人だった
子供たちは同学年で固まっていたけど
それは自然の成り行きで不和のせいではない
行事の折には仲良くじゃれ合っていた
つまりトラブルと無縁の平和な場所だった
冬休み前の終業式が終わった後
その学童保育でクリスマス会があった
見慣れた部屋が見違えるようにキラキラで
マセていた私でも毎年浮足立った
金や銀の紙をたくさん使った紙飾り
あちこち巻きついたカラフルに光る電飾
小さなツリーやスノードームもいっぱいあった
そこにいるだけで楽しくなるような空間
会ではいつも かくれんぼやハンカチ落とし
腕相撲大会や先生の読み聞かせ
お菓子パーティーなんかをしていたけれど
その年には新しい催しがあった
大学生たちが劇をやってくれたのだ
近所に大学なんてなかったから 彼らは
遠い場所から無償で来てくれたのだろう
絶対に素敵な人たちだったに違いない
彼らの劇はお菓子パーティーの直前だった
子供たちの目はテーブルの上のお菓子に
演劇には ほとんど興味ない様子だった
かく言う私も ずっと床を眺めていた
早く終わらないかなぁ と顔を上げると
舞台で声を張っている青年と目が合った
私たちの態度は彼にどう映っただろう
温度差に私は居心地が悪くなった
芝居がはねて お菓子パーティーに移ると
私は適当な言い訳をして すぐ帰った
お菓子なんか食う気になれなかったし 何より
若者たちも参加することになっていたから
演劇の内容もその大学生の顔も 覚えていないが
あの時感じた息苦しさだけは 今でも覚えている




