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第2話 もう1人の神様と会いました。

お茶を飲みながら待つこと数分、茜さんがもう1人の神様を連れて戻ってきた。


『御魂様。テルース様をお連れしました。』


神様が茜さんに中へ通すように伝えると、もう1人の神様が部屋に入ってきて神様の隣に腰を下ろした。


「百合様、こちらが先程お話した神。創造神テルースです。」

「は、初めまして。神崎百合と申します。」


紹介された神様は、創造神テルース様というらしい。

年は大体70代前後くらいだろうか…真っ白な長い髪と髭を貯えていて『神様』というより『仙人』と言われたほうが納得出来そうな容姿をしている。


「お主はユリというのか。儂は創造神テルース…バレーシムという世界を管理する神じゃ。」


お互いに簡単な挨拶を済ませると、神様が早速本題を話し始めた。


「では、簡単に挨拶も済ませましたし本題に入りましょうか。テルース、先程も話しましたが私から百合様に貴方が地球側(こちら)の魂を探していることと、その目的と理由をお話ししました。私は貴方と波長が合うのではないかと思って紹介したのですが如何ですか。」


「うむ。確かにユリは儂の世界と波長がよく合っておる。もしユリが今回の話を受けてくれるのであれば、儂としても助かるの。」


「ならば、貴方の世界がどのような場所なのか説明してあげてください。」

「そうじゃの…では儂が創った世界について説明しよう。」


そうして創造神様は、自分の世界について色々と話してくれた。

内容をまとめると、そこは『バレーシム』という名前の剣と魔法のファンタジー世界で文明は大体中世ヨーロッパくらい。

日本と同じように四季が存在していて、日付や時間の感覚は今と同じ1日24時間、1年365日。

さらに4年に1度の閏年まであるらしい。

種族は大きく『人族』『獣人族』『魔族』『(エルフやドワーフなどの)それ以外の種族』の4つに分類され『迷路(メイズ)の森』を中心にそれぞれ国を構えて生活している。


「まあ、地球(こちら)と似た部分も多いから慣れれば生活しやすいと思うぞ。」


確かに聞いた限りではそこまで違ったものもないし、生きていけるかもしれない。

そう思いながら、私は創造神様に懸念事項を確認することにした。


「創造神様。1つお聞きしたいのですが、もし転生するとして何か使命を課されたりはしますか?」

「今は比較的平和じゃから特にはないぞ。あと、儂のことは気軽にテルースと呼ぶといい。」

「あら。では、私のことも御魂と呼んでくださいまし。」

「それではテルース様、御魂様と呼ばせていただきます。」


私がそう言うと、神様たちは満足そうに頷く。


「して、ユリ…話を聞いてみてどうするか決まったか。儂としては今回の件を受けてくれると嬉しいが、無理強いはせんよ。」

「そうですね。なかなか経験出来ることでもないですし、私でよければ受けさせて頂きたいです。」

「そうか。協力感謝する。では、このまま話を続けさせてもらうぞ。」


そうして転生することになった私は、その準備に取り掛かることになった。


「まず、転生する者には言語理解、無限収納(インベントリ)、鑑定スキルの3つは必ずつけておる。それ以外に何か欲しいものはあるか?」

「あの、今持っているスマホやPCをあっちの世界でも使えるようにしてもらうことは出来ますか?レシピを検索したり、写真撮ったり出来たらいいなと思って…」

「よかろう。儂の世界でも使えるように仕様を変えておく。」

「ありがとうございます。」

「テルース、私からもいいかしら。百合様には今回こちらの不注意でご迷惑をおかけしてしまいましたわ。なので私の加護と使いを1匹つけてあげたいのです。」

「わかった。ならば、ついでに儂の加護もつけておくかの。」


新しい世界で困らないように色々配慮してくれる神様たちに感謝しつつ、その後も3人で話し合いを重ねること約1時間。

話もある程度まとまり、最終確認をすることになった。


「ユリには転生する礼として基本スキル3つと、儂とミタマの加護、そして相棒としてミタマの使いを1匹つける。儂らの加護によって魔法も複数使えるようになっておるからあとで確認してみるとよい。ユリが持っている機械は儂の世界でも使えるようにしておく…これで大丈夫じゃな?」


「はい、それで大丈夫です。ありがとうございます。」


「最後に儂から1つ助言をしよう。儂の世界で真名…つまりお主でいう”神崎百合”という名はそれなりに重要な意味を持つ。比較的平和な世界ではあるが皆が善人なわけではない…もし悪しき者に真名を知られると自由を奪われる可能性もある。じゃから身を守るためにも普段は別の名で生活をすることをおすすめする。」


「別の名前ですか。ゲームで使う名前みたいなものですかね。」

「そう思ってくれて構わんよ。新しい名は何にする。」


テルース様から新しい名前を考えるように言われた私は、お茶を飲みながら思案する。

確か私の百合という名前は、両親がユリの花からつけたとおばあちゃんから聞いたことがあった。

ユリの花は英名だとリリーだったはずだから…『リリー』にしよう。


「では、リリーでお願いします。」


すると、静かにお茶を飲みながら話を聞いていた御魂様が口を開いた。


「あの、百合様。よろしければ一緒に連れていくこの子にも名前をつけていただけますか?この子はまだ修業の身だったので名を付けていないのです。」


…そう。御魂様が相棒にと私につけてくれたのはあの子狐だった。

迷惑をかけた分、側で私を助けるように言いつけたらしい。

相棒となる子狐はというと、部屋の隅で呑気にみかんを食べていた。

結構な事をやらかした後だというのに…切り替えが早いのか何なのか。

やっぱりつけるなら日本らしい名前がいいか。

何がいいだろう。きつね……茜さん……茜空……空……。


「では、暁はどうでしょう、神域(ここ)に連れてこられたのが朝でしたし、やはり日本らしい響きの名前がよくて…君もそれでいいかな。」


そう言って子狐の頭を撫でると、気にったのか子狐は嬉しそうに身体を摺り寄せてきた。

その様子を見ながら御魂様は優しく微笑む。


「暁、良い名を貰いましたね。」


御魂様がそう言うと「はい!」と返事をするように子狐は尻尾を激しく振った。



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「よし。これで準備は整った。これから魔法を発動させるがユリ、心の準備は良いか?」

「はい。いつでも大丈夫です。」


私たちは魔法を発動させるため、本殿を出て鳥居の前に来ていた。

私は暁と一緒にテルース様が描いた魔法陣の上に立つ。


「転生が出来たら儂から連絡を入れる。じゃから、向こうに着いたらまず待っておくように。」

「百合様、気をつけて行ってらっしゃいませ。暁、百合様のことを頼みますよ。」

「分かりました。テルース様、御魂様…色々とありがとうございます。」


私は神様たちにお礼を言い、暁は御魂様の言葉に元気よく『キュッ!』と返事をした。


「では儀式を開始しよう…」


そう言ってテルース様が呪文を唱え始めると、足元の魔法陣が徐々に光を放ちながら回り始めた。


「………お主の新しい人生に幸多からんことを!」


テルース様が呪文を唱え終わり私にそう告げた瞬間、大きな光が私と暁を包み込む。

眩い光の外側で私たちに手を振る御魂様の姿が見える…

それにお辞儀をして小さく手を振り返すと、目の前が真っ白になり私は意識を手放した。

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