第9話 収穫した木の実は食べ慣れたものばかりでした。
目的地に到着したモモンガさん達は早速木の実を収穫し始める。
私は、まずどんな木の実があるのか鑑定をしてみることにした。
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【アーモン】
バレーシムでよく獲れる木の実。
殻が薄く身の表面が滑らかで、癖のない味が特徴。
地球でいうアーモンドと同じ。
※迷路の森産は通常より栄養価が高い
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【カシュの実】
バレーシムでよく獲れる木の実。
淡白な香りと優しい甘さが特徴。
地球でいうカシューナッツと同じ。
※迷路の森産は通常より旨味が強い
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【クルミン】
バレーシムでよく獲れる木の実。
しっとりとした食感とまろやかなコクが特徴。
ローストすると香ばしくサクッとした食感になる。
地球でいうクルミと同じ。
※迷路の森産は通常の2倍サイズ
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「ふむふむ。元の世界で食べてたものと同じね…」
鑑定して食べ慣れたものだと分かった私は、暁と一緒に収穫することにする。
「暁。これがアーモンで、これがカシュの実、それからこれがクルミンだよ。この3種類を収穫してほしいんだけど大丈夫かな。」
『わかったよ!とれたらポシェットにいれておくね!』
「うん。よろしくね。」
暁に木の実をそれぞれ見せて説明すると、すぐに理解して収穫を始めた。
小さい身体でどうやって収穫するのか見ていると、魔法を器用に使い自分が届く位置まで枝を下げている。
そんな風に使うことも出来るんだと感心しつつ、私も乱獲しないよう注意しながら木の実を収穫する。
今回収穫している木の実は、おかずにも肴にもお菓子にもなり使い勝手がいい。
私は頭の中で木の実を使ったレシピを思い浮かべる。
パウンドケーキに炒め物、サラダなどのトッピングにも使える…これは食べるのが楽しみだ。
そんなことを考えながら収穫すること約2時間。
気がつけば太陽も高い位置まで登り、そろそろお昼ごはんの時間になろうとしていた。
私は少し開けた場所に移動し、無限収納からテーブルセットを取り出してお昼ごはんの準備をする。
魔物に襲われないよう結界を張っておくことも忘れない。
「みんな、お昼ごはん食べよう。」
そう声をかけると、暁とモモンガさん達が戻ってきた。
モモンガさん達にはテーブルの上、暁には子供用の脚が長い椅子に座ってもらって食事を開始する。
今日のメニューはレタスとベーコンエッグを挟んだロールパンサンドに、野菜たっぷりのコンソメスープ、あとはモモンガさん達用に果物を何種類かとサクサク生地のアップルパイだ。
『リリー今日のパンもとってもおいしいよ!』
『このアップルパイとやらも美味しいじゃないの。』
「普段アップルパイを作る時はシナモンを入れるんだけど、モモンガさん達はスパイスの香りや味が苦手かもしれないと思って今回は入れずに作ってみたんだ。」
モモンガさんにそう言いながら、私もロールパンサンドを口に運ぶ。
こんがり焼いたベーコンと目玉焼きに、薄く広げたマヨネーズが合わさってとても美味しい。
1つ1つはあまり大きくないがその分いっぱい食べれるし、手もあまり汚さずに食べることが出来る。
コンソメスープはじゃがいも、にんじん、玉ねぎ、キャベツ、ウインナーが入っており、具材は全て大きめに切っているので食べ応えがある。
デザートとして食べるのはモモンガさんが褒めてくれたアップルパイ。
今回はモモンガさん達が食べれるようにシナモンは入れずに作ってみたが、さて味はいかほどか…
「シナモンがなくても十分美味しい。我ながら天才なのでは…」
口に入れてまず感じるのは、バターの豊かな香りとサクサクとしたパイの食感。
そこに甘く煮詰めたリンゴが絡み合って、絶妙なハーモニーを奏でている。
シナモンを入れずとも十分な仕上がりだ。
『あたいは今まで果物はそのまま食べていたけど、こうやって調理しても美味しいなんてリリーに出会わなきゃ知らなかったよ。』
「果物もそうだけど、今日収穫した木の実とかも色んな料理に使えるんだよ。今度はその料理も作ってみようか。」
『それはまた楽しみだね。仲間たちも喜びそうだ。』
モモンガさんがそう言うと、他のピクシーモマ達も嬉しそうに頷いている。
その様子を見ながら、私はそのうち色んな料理を作って振舞ってあげようと心に誓うのだった。