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第8話 モモンガさんと木の実を採りに行きます。

それはモモンガさんとのおしゃべりを楽しんでいたある日のこと。


『今度、木の実を採りに行ってくるわ。』

「うちには果物しかないもんね。この辺にあるの?」

『ここよりもう少し北東に行った辺りに、あたい達が食べる木の実があるんだよ。』


ここより北東か…

そういえばここ以外だと最初に落とされた花畑くらいしか見たことがないな。

そう思った私はモモンガさんに提案してみる。


「ねえ、それ一緒について行ってもいい?」

『急にどうしたんだい。』

「私と暁は、ここ以外だと少し先にある花畑にしか行ったことないんだよ。」


私がそう言うと、モモンガさんは少し考えてから『いいよ。』と同行許可をくれた。

明日の朝に出発するとのことだったので、私は明日の準備をするためにモモンガさんと別れ家に戻る。


「さてと…創造(クリエイト)!」

『リリー何してるのー?』

「明日モモンガさんと一緒に木の実を採りに行くからその準備だよ。」

『ふーん。何それ。』


ソファに座って作業をする私の手元を見ながら暁は尋ねる。


「これはピクシーモマ達用のポシェットだよ。」


そう。私が創造していたのはピクシーモマ達用のポシェット。

モモンガさんに木の実をどうやって運んでいるのか聞くと、持てる分だけ木の葉に包み咥えながら運んでいるという。

でも、それだと量も少ないし移動も大変なんじゃないか…そう思った私はテルース様からもらった創造スキルで収穫用のポシェットを作ってあげることにしたのだ。

小柄なピクシーモマに合わせ首からさげるタイプの小さなポシェットを量産していく。

ポシェットは開け閉めしやすいようがま口を採用し、色はブラウンで統一。

ちょっとした遊び心でどんぐりをモチーフにしたロゴをあしらってみた。


「出来た。どれどれちゃんとイメージした性能になってるかな…」


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【リリー特製魔法鞄(マジックバッグ)

その名の通り、リリーが作った特製の魔法鞄。

容量も大きく、時間停止機能付き。

※持ち主と一定の距離が離れると自動で戻ってくる。

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早速完成したたポシェットを鑑定してみると、イメージ通りのものが出来ている。

自動で戻ってくる機能を付けたのは、もし何かに襲われた際に荷物を気にせず逃げられるようにするためだ。

満足のいく仕上がりに内心喜んでいると、横から視線を感じる。

なんだろうと思いながら視線のほうに顔を向けると、そこにはポシェットを羨ましそうに見つめる暁の姿があった。

その様子でピンときた私は、先程とは別のポシェットを作る。

口はファスナータイプで色はワインレッド、そしてユリをモチーフにしたロゴをつけたら完成!


「暁、おいで。」

『…なーに。』

「はい。これは暁のポシェットだよ。」

『僕のポシェット…?』

「そうだよ。暁用に作ったんだけどいらなかった?」

『いる!僕の…僕のポシェットだっ!!』


暁に完成したポシェットを渡すと、首からポシェットをさげて嬉しそうに走り回っている。

喜んでもらえたようで何よりだ。


そんなこんなで翌日…

準備を終えた私と暁が果樹園へ向かうと、モモンガさんと数匹のピクシーモマ達が待っていた。


「モモンガさんおはよう。他のみんなもおはよう。」

『おはよー』

『リリーと暁か。おはよう』


お互いに朝の挨拶を交わし、今日の予定をもう1度確認する。


『今日はここからもう少し北東に行ったところにある木の実を採りに行くよ。今回はリリー達もいるから属性が被らない仲間たちを連れてきた。こいつらは氷、雷、風の属性を持っている。これでもし何かに遭遇してもある程度は対処出来るだろう。』


「色々考えてくれたんだね。」

『なるべく安全なほうがいいだろう。用心するに越したことはない。』


モモンガさんはそう言うと、早速目的地に向かって歩き出す。

そんなモモンガさんに私は慌てて待ったをかけた。

不思議そうな顔をするモモンガさんたちに私は無限収納(インベントリ)からポシェットを取り出す。


「はい、これモモンガさん達に。魔法鞄(マジックバッグ)だよ。」

『ええ!?そんな大そうなもの受け取れないよ!』

「大丈夫。私が作ったやつだから。」

『これをリリーが?』

『そうだよ!僕のポシェットも作ってもらったんだー』


暁はそう言って驚いているモモンガさん達に自分のポシェットを見せる。


「いつもの運び方だとそんなに量を運べないでしょ?だからあったら便利かなと思って。」

『あたい達ばかり借りが増えていっちまうよ。』

「気にしなくていいよ。私がただあげたいだけだから。」


私がそう言うと、モモンガさん達は『ありがとう。』とポシェットを受け取ってくれた。

早速首にさげてもらうとサイズもぴったりだし、何よりも可愛い。

ということで、出発前にちょっとしたわちゃわちゃはあったが気を取り直して今度こそ出発だ。

目的地に向かって歩いていると、所々で素材を発見する。


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【ナーバ草】

ポーションの材料となる薬草。

ギザギザした葉と星形の茎が特徴。

ノバ草と似ているため見分けがつきにくい。

※迷路の森産は通常より高品質

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【ヒール茸】

回復ポーションの材料となるキノコ。

暗い場所を好み、笠が淡い青色で発光している。

※迷路の森産は通常より高品質

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【ホーンラビットの角】

その名の通り、ホーンラビットの角。

この角は生え変わりで落ちたものです。

まだ新しいため素材価値は高いでしょう。

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「わあ、素材が沢山あるよ。何かのために採っておこう。」

『何がいいのかあたいには分からないよ。』

「私も実際にどう使うのか分からないけど、何かあった時のために採っておこうと思って。どこかに行った時に売れるかもしれないし。」

『それなら出かけた時に何かあれば持って帰るようにするよ。その中に価値のあるものがあればリリーが持っておけばいいさ。』

「それは嬉しいけどいいの?」

『出かけたついでに持って帰るだけだし、あたい達はそれ以上のものをリリーからもらってるからね。それくらいどうってことないよ。』


道中にそんな会話をしながら歩いていくこと1時間、私たちは目的地に到着した。

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