閑話 ピクシーモマとサンドイッチ
私は今、バスケットを片手に家の後ろにある果樹園に来ていた。
「モモンガさん、こんにちは。」
『おや、リリーじゃないか。どうしたんだい?』
「一緒にお昼ごはん食べたいなと思って。」
『それはいいね。みんなも呼ぶからちょっと待っててくれ。』
モモンガさんはそう言うと、仲間を呼びに木に登っていく。
残された私は、待っている間にお昼ごはんの用意をすることにした。
地面に大きな布を敷いてバスケットから飲み物や作ってきたものを取り出していると、モモンガさんが仲間を連れてやってくる。
『…なんだか見慣れない食べ物があるね。』
「これはサンドイッチっていうの。パンに色々挟んで食べる料理なんだ。」
『へえ、そんなものもあるんだね。あたい達は果物を食べるから関係ないけどさ。』
「そのことなんだけど…こういうものは食べられるかな?」
そう言って私がバスケットから取り出したのは、ナッツ入りのサラダと果物を使ったフルーツサンド。
木の実や果物が好きなピクシーモマ達のために、普通のサンドイッチとは別で用意したものだ。
勿論、普通サイズだとピクシーモマ達には少し大きいので1/4カットにしている。
『なんだい!すごくいい香りがするじゃないか!』
「前に木の実や果物が好きって言ってたでしょ。だから、これなら食べれるかなと思って作ってみたんだ。」
『あたい達のために?』
「うん。みんなで一緒に食べよう。」
そう言って食べてみるように促すと、ピクシーモマ達は少し緊張した様子でサンドイッチを手に取り1口食べた。
…すると次の瞬間、みんな一斉にバクバクとサンドイッチを食べ始める。
『なんだこれは!?こんなに甘くておいしいものがあったのか。』
『果物だけでも美味かったのに、もっと美味くなるとは…』
『おい。こっちのサラダってやつも美味いぞ!!』
どうやらサラダもフルーツサンドもピクシーモマ達の口に合ったらしい。
気がつけば暁もピクシーモマ達と一緒になって食べていた。
『リリー。あたいこんなに美味しいものは生まれて初めてだよ。』
「口に合ったみたいでよかった。まだあるからいっぱい食べて。」
リリーに沢山食べるよう勧めた私は、たまごサンドを手に取る。
今日はたまごサンドと、ハムとレタスとチーズのサンドイッチ、それとトマトとツナマヨのサンドイッチの3種類のサンドイッチを用意してみた。
ちなみにフルーツサンドはイチゴ、桃、オレンジ、ブルーベリー、バナナの5種類だ。
「んー、やっぱりサンドイッチはたまごが一番だよね。」
たまごサンドでも厚焼き玉子を挟んだものや、スライスしたゆで卵と照り焼きチキンなどを挟んだものなど色々種類があるけど、私はやっぱりシンプルなたまごサンドが1番好きだ。
卵と塩胡椒、マヨネーズに隠し味程度のからしを入れた特製たまごサンドは飽きることなく食べられる。
続いて食べるのはイチゴのフルーツサンド。
1口食べると、イチゴの程よい酸味と甘さ控えめの生クリームが口の中いっぱいに広がる。
私が育てた果物は基本的に甘さが強いので、味を引き立たせるために生クリームは自然な甘みを感じる程度に調整した。
『リリー本当にありがとな。』
「何が?」
『あたい達に住処と食料を提供してくれて感謝してる。ここに来てからみんな幸せそうなんだ。』
「力になれたのならよかったよ。」
『こんなに美味しい食べ物もありがとう。』
「いいよいいよ。また一緒に食べようね。」
そんな会話をしながら私はピクシーモマ達と、お昼ごはんを堪能したのだった。