なぜか高校の同期が夢に出てきて、そいつと前の席に座ってた女とパチンコに行く流れになる話
なぜか高校の同期が夢に出てきて、そいつと前の席に座ってた女とパチンコに行く話4
あくまで主観だが、パチンコを稼ぐために打ち始めたら人間オシマイだ。なぜなら法で取り締まりやすいギャンブルだからだ。そして現に取り締まられた結果、国が誇れるハイリスク・ローリターンなギャンブルとなってしまった。
そんな状況でも稼げてる人がいるって?ハハ、冗談よしてくれよ。そう言ってる人自身が、パチスロの置かれている現状を『そんな状況』と言っちゃってるじゃないか。
え?今俺がいる場所?もちろんパチ屋さ。そして現在新しいユーザー獲得のために貢献中~。
「とにかく玉を打ち出す時は右に飛ばないようにすればOK」
「わかった」
コクコクと頷く女。
「あとわかんないことある?」
「えっと、どこらへん狙って打ち出せばいいとかあるの?」
「あー...一応この打ち出したらちょうどぶつかりそうなとこあるやん?」
と言って、上の方にある『」』の形をしたとこを指差す。
「ここを狙うのがふつーなんだけど、それだとあんまりヘソに玉が入っていかん時あるんよ。」
ヘソというのは台中央下にある銀玉が入っていきそうな穴のことである。ここに銀玉が入って初めて、台が今日の運勢を占ってくれる。あ、占うっていうのは比喩ね。ってことをさっきミキにも説明したと。
「だから正直ヘソに一番銀玉が入りそうなとこを、どこでもいいから狙うって感じやな」
「ん~。やってみてってことね」
「そそ」
これで一通りは説明したかな~とちょっと考えてる隙に、ミキはうろうろと辺りを見渡している。
「トイレ?」
「違う!」
うるさい店内だから声を大きくしてくれて助かる。
「ほら説明書とかは?」
「……は?」
せつめいしょ…?
「もうあとは自分でそういうの見ながら遊ぶから。大変でしょ?いちいち私に話すの」
「あ。」
あーーー!そういうことね!!ハイハイハイ。
「説明書ないよ」
「……はぁ?」
マネすんな。
「説明書ないって」
「じゃあこれは?」
脇に刺さってたレストランのメニュー表のような冊子を取り出し、俺に突き出している。
「それは台の概要。パチンコの遊び方じゃない」
「うそ。そんなはずは…」
俺がさっきまで丁寧に説明したことがどこかに文字として記されていないかと探しているようだが、まぁ見つからんだろう。むしろ今それを見たことで、またわからないことが多発してしまうだろうなぁと内心ため息。だからそれ使わなかったのに。
ある程度見て諦めたのか、その冊子を元に戻し俺の方を向き直る。
「口頭でよろしくお願いします」
「はいよ」
意味不明なモノを見たあとも、いきなり質問してこないのはやっぱり育ちの良さかね。