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【98】 ゴブリン出現

 霊峰(れいほう)を下りていき、また代り映えのしない草原を歩いていく。

 帝国付近のモンスターは狂暴であり、人間を容赦(ようしゃ)なく襲うので危険。しかも、変異種の出現も(まれ)にあるので油断はならない。



「――――たぁっ!!」



 ソレイユが聖剣『マレット』を爽快(そうかい)に振るってゴブリンを排除(はいじょ)していた。それでも、森の奥からわらわら出現する雑魚(ざこ)ゴブリン。数が多いな。



『サンダーボルト!!!』



 詠唱を素早く完了させ、後方にいるミーティアは魔法を放った。激しい落雷はゴブリンを確実に(ちり)していき、数を減らした。さすが魔法スキル。容赦(ようしゃ)ないな。やっぱり魔法使いは強かった。俺の目に狂いはなかったというわけだ。


 だが突然、草の(かげ)からゴブリンが飛び出てきた。



『グロリアスイントロイトゥス』



 それを詠唱なしで発動したのは、ルナだった。

 敵の攻撃を完全に防ぎミーティアを守った。



 それから素早く移動すると、更に――



『グロリアスグラドゥアーレ』



 一撃で複数のゴブリンを粉砕(ふんさい)、ほとんどを消し去った。……な、なんて神々しい光だ。聖属性魔法とはいえ、強力すぎる。どんな威力だよアレ。



 まるで『神の裁き』ではないか――?



 俺もそれに続き、余ったエクサニウムで精錬した『グラディウス』を構えた。ここでこれの出番というわけだ。少しは活躍しないとな!


「なによ、カイト。あんた、新しい武器があったのね」


 短剣を見て、ソレイユが珍品(レア)を見るような顔をした。


「すまん、俺も実はみんなに隠していた。これ、エクサニウムと俺の手持ちの『パライバトルマリン』を使ったんだよ。おかげで強度と魔力がすげぇぜ」


「色鮮やかな短剣ですね!」


 聖魔法を維持(いじ)しながら、感心するルナ。


「そう。まあいいんじゃない。それくらいの報酬(ほうしゅう)があっても」


 まるで俺を照らすようにソレイユは笑った。


「カイト、私にはあんな叱責(しっせき)したのに~! でも、カイトには一番活躍して欲しいですし、私も守ってくださいねっ」


 ぶぅと頬を(ふく)らませるミーティアは不服(ふふく)そうだったが、そう俺を激励(げきれい)してくれた。ならば期待に応えるのが社長の責任であり、役目だ。



 ……良かった。

 みんな怒ってはいないようだ。



 迷う必要はないよな。



「っりゃぁぁぁ――――!!!」



 短剣を振るっただけで青い刃が飛んだ。

 それはゴブリンの貧弱な身体(からだ)を貫き――(たお)した。


 すげぇ威力だ! これは予想外。


 このまま突き進もう。

 誰一人、欠けさせやない。無事に帝国へ辿(たど)り着くんだ……!

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