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【94】 ポーチの中身

「主に防具の精錬(せいれん)材料で高需要(こうじゅよう)暴騰中(ぼうとうちゅう)のエクサニウムを10個売れば、(おそ)らくだが『100万セル』にはなる。しかもこれだけではないぞ!」


「あの、カイト様。他にも何かあるのですか?」


 あざとく首を(ひね)るルナは可愛かった。

 そのままお持ち帰りしたい……。



「おう、あるさ。まず、ソレイユ!」



 俺は、桃色髪の女騎士を指さした。そんなヤツはこの中にひとりしかいない。ソレイユである。彼女は相変(あいか)わらず胡坐(あぐら)をかき、紅茶を(すす)っていた。


 品がまるでない。少しは乙女(おとめ)らしくだなぁ!

 ――って、そりゃいいや。


「な、なによ。まさか皇帝にお願いするとか無茶ぶりじゃないでしょうね。そんなの絶対無理だから!」


「まあまあ、ちょっとこっち来い」


「……ぅぅ、顔近いし。ヘ、ヘンなとこ触らないでよ。みんなの前でとか恥ずかしいし……二人きりならいいけど……」

真昼間(まっぴるま)からするかってーの! てか、俺から触れたのはお前のそのモミアゲだけだ、今のところ。いや、そうじゃない……!」



 俺はソレイユを目の前に立たせ、手を差し出した。



「さあ、出してもらおうか」


「……な、何を?」


「とぼけるな。お前、この前のダンジョンであるモノ(・・・・)を拾っていたよな。それ――聖剣『マレット』に引っ掛けてるポーチの中にあるんだろ?」

「……うぐっ!」


 図星か。

 そして、ソレイユは聖剣を隠す動作をした。あからさまじゃねぇか。


「ソレイユ、お前に乱暴だけはしたくない。分かっているよな」

「……分かったわよ。半分(・・)だけよ。残りは孤児院(こじいん)の支援に使うから」



 ゴソゴソとポーチからそれを取り出すソレイユ。

 (てのひら)には――



「やっぱり、ダイヤモンドがあったな」



「わぁ、この前のダイヤモンドゴーレムのドロップ品ですよね。キラキラ輝いているし、透き通っていてとても綺麗(きれい)です。ソレイユが拾っていたのですね」

「ソレイユさん、いつの間に……。ズルいですよ」


 ルナもミーティアも動揺(どうよう)を隠せなかった。

 当然の反応だ。



 だが。



「だけどな。ソレイユだけが悪いとは言い切れない。この中にもっと凶悪な(たぬき)がいる……。ズルいと言っていたが、お前の方がよっぽどズルいぞ……なあ、ミーティア!」



「…………ぇ!」

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