【74】 錬金術師の店にて
ワンダの意外な親切を受け、錬金術師の店『リベンジ』へ招待された。
――翌日。
俺は、フカフカのベッドの上で目を覚ました。
「よく寝た……」
実は、宿屋ではないだろうか? と錯覚してしまうほどに『リベンジ』は快適すぎた。俺のかつての店とは大違いの環境。清潔かつ徹底的に整理されており……しかも三階建て。あまりに女性らしい見栄えに驚嘆したほどだ。
あのワンダ……乱暴な言葉遣いだし、態度もアレだけど、心はルナよりも乙女なのかもしれない。想像もつかんけどな。
などと思考を巡らせていると、乾いたノックが耳を突いた。……ああ、察しは付く。この気を遣うような優しい音加減はルナだ。毎日起こしてくる度にこの音だからな。すっかり覚えてしまった。
「おはようございます、カイト様。入ってもよろしいですか」
「この可愛い声は正解だな。入って、ルナ」
ゆっくりと扉を開けてルナが入って来たが……。
「わ……! いつもと違う。メイド服はどうしたの?」
「その、今朝ですね、ワンダがこれを着るようにと……」
おぉ……俺は思わず息を呑んだ。
ルナは純白のワンピースに身を包み、ほんのり頬を赤らめ恥じらっていた。……なんて清らか。心が洗われるようだった。
てか、似合いすぎだろ。
腰まで伸びるクリーム色の髪と見事にマッチしている。これはまるで黄金比。そこにいるだけで名画となり、その値打ちは計り知れない。
……いや、これはもう価値の問題ではない。
お金では決して換えることの出来ない……かけがえのない存在だ。俺はルナを絶対に手放したくないと思ってしまった。
「か、可愛すぎる……」
「…………ぅぅ、カイト様……わたし。て……照れちゃいましゅ……」
うわぁ、そんな全身真っ赤に沸騰されると……こっちまで照れるって。あと最後噛んでる! どうやら、ルナは照れると噛むらしい。
ワンダのヤツ……いい仕事するな。グッジョブ。




