【73】 ストロベリームーン
少し時間が経ち――『マレット』で背中を突かれた。ソレイユが眉を吊り上げていた。
おっと、イカン。
「ちょっとカイト~、いつまでやってるのよ。もう10分くらいルナと抱き合ってるし~…こっちの事も少しは考えてよ」
「悪い、もうそんな時間経っていたか――あれ?」
誰もいなかった。
いつの今にか解散したようだ。あんなにも熱気とか活気があったのに……今や静寂と赤い満月ストロベリームーンが取り残されているだけ。
「皆さん帰られましたね。もう遅いですし」
ボソッとつぶやくミーティアの顔は疲れていた。
そんな彼女は、小さく体育座りをしていた。……ていうか、この角度からだと縞々らしきものが。すっかり暗闇なので確証はないが。
「? 鼻を押さえてどうしたのですか、カイト」
俺の視線に気づいたミーティアだが、己の羞恥すべき点に気付いていないな。まったく……ふぅ。
「何でもないよ。それよりも今日は野宿かな」
「え~! 野宿? ウソ……」
ソレイユは嫌そうに屈んだ。
「なんだ、ソレイユは枕がないと寝れないタイプなのか?」
「うっ……なんで知ってるのよ」
「マジかよ!」
適当に言ったんだけどね。
でも、もうこの時間じゃ宿も取れないだろうしな~…。あの戦闘で散財も激しくしたし、金銭面もレッドゾーン。こりゃ破産レベルだぞ。下手すりゃ路頭に迷うかも……などと、幸先不安になっていると。
「カイト、ウチへ来い」
「……ワンダ、いたのか」
「まあな。知らん仲でもないし、『リベンジ』へ来い。特に、ルナには倒られては困るからな」
そういえばワンダは、やたらルナには気を掛けているよな。元メンバーのよしみだろうか。




