表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
72/318

【72】 月の涙

 騒動は終息し、一件落着となった。


「大切な家を失ったな」

「はい……とても悲しいです。みんなのお店が……」


 顔を曇らせ今にも泣きだしそうなルナ。

 俺も辛い。ルナのおかげであの店はオープン出来たし、現在(いま)の俺があった。みんなとも出逢えた。素敵なお客さんとも出会えた。


 そうだよ、全ては彼女(ルナ)のおかげだ。


 ルナがいなかったら、俺はあのまま冷たい雨の中で腐って死んでいた。


 まだ続けたい。

 たくさんの人たちの笑顔を見たい――。



 だから、



 俺はそっとルナの肩に手を置く。

 向かってくる視線は悲痛に満ち溢れていた。そんな落ち込むよりも辛い顔をして欲しくはない。キミにはずっと笑っていて欲しいから。



「ルナ。また俺と一緒に店をやって欲しい。ソレイユとミーティアも入れてね。今度は【帝国・レッドムーン】へ行こう。あの世界一を誇る大国でお店をやるんだ」


「…………」


 静かに涙を零すルナは胸がいっぱいになっていた。

 あの時、俺を救ってくれたルナのように、今度は俺がルナを引っ張っていく。ソレイユもミーティアもだ。


「わたしは……」


 ほんの(わず)かに躊躇(ちゅうちょ)を見せるルナ。少し迷いがあるのか――それとも。

 ……ああ、きっと言えない事情とかあるよな。それでもいい、俺はルナと居たいんだ。ルナがいない生活なんて考えたくもない。


「来い、ルナ! 今度は俺の番だ。キミのこの手は俺だけが掴んでいく!」

「…………カイト様」



 ルナの繊細な身体(からだ)を優しく手繰り寄せ、ぎゅっと抱きしめた。

 嫌がる素振りも抵抗もない。


 驚く顔もせず、月明かりのような笑顔で――



「…………ありがとう」



 大粒の涙を流しながらも、嬉しそうに言葉を振り絞っていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ