表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

5/316

【05】 月の少女

 目を覚ますと、古びた部屋に横たわっていた。

 半身を起こし周囲を見渡す。ベッドもボロボロ。どこかの小屋か?


「うわっ、俺、ハダカ!?」


 なにも身に着けていなかった。

 どこかに着るものは……?


「目を覚まされたのですね」

「って、キミ!!」


 俺を助けてくれた、あのメイド服の女の子だ。

 改めて見ると……なんだか変わった服だな。まるでゴスロリをリスペクトしたような、そんな個性の強い服だった。オーダーメイドだろうな。


 しかしそれ以上に、サラサラのロングヘアが月のように輝いていた。そこに羞花閉月(しゅうかへいげつ)の顔立ち、それと最高峰のルビーのような『赤い瞳』もまた心を奪われるようだった。


 そんな婉容(えんよう)である彼女は、料理を作っていたみたいだ。空腹をより促進する良い匂いがする。


「服は泥に(まみ)れていましたので……勝手ながら、脱がしてお洗濯しておきました」

「ぬ、ぬが!? ……うそ」


 まさかこの美人が俺を脱がした……?

 俺の視線に気づいたのか、少女は頬を赤らめた。


 やっぱり!


「……そ、その、ちゃんとは見ていないのでご安心下さい」

「そ、そか。でも助けてくれてありがとう。……ところで、キミの名前は?」


「自己紹介がまだでしたね。わたしは『ルナ』と申します。あなた様のお名前は?」


「俺は……カイト」

「カイト様」


 まるで自分に言い聞かせるように一言つぶやく。そんな風に俺の名を口にするルナはどこか儚げだった――。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ