【35】 スパイ疑惑
「なんだ、知らなかったのか」
「初めて知った。……教えてくれ、ルナはいったい……」
「彼女は最初からパナシーア側。つまり、シャロウにはスパイとして潜入したわけだ。どうして強くなったか情報を得る為にな」
スパイ……まさか、そんな。
驚愕している間にも、女は話を続けた。
「だが、それはもう分かった。あなただった……あなたがその『レベル売買』の力でメンバーを強化しまくっていたのだな。だから、シャロウは力を付けた」
「で、俺を殺すつもりか?」
「……いいや、あなたとは手を組みたい。正式に契約を交わし、私らもレベルを売買したい。強くなって、シャロウに復讐を果たしたい」
なるほど、利害の一致ってか。
気になる部分も多いが、商人として考えれば悪い取引ではない。でも、ちょっとだけ気掛かりだった。ルナ……キミはいったい。
――いや、関係ない。コイツの言っていることが全て正しいとは限らない。
「カイト。なんの話か分かりませんけど、怪しいですよ、これ」
顔を近づけ、耳打ちしてくるミーティア。
そうだな……どこまでが本当か分からない。まだ初対面だし、信用に足らない。安易に信じれば、痛い目を見るかも。ここは慎重かつ冷静に判断を下すべきだ。
「一度、ルナに確認したい」
「……分かった。確かに急な話ではあったしな、彼女に確認してみるといい」
「あと、あんたの名前を教えてくれ」
「名乗るのが遅れたな、私は錬金術師のワンダだ」




