【27】 顧客第一主義
とんでもない提案だった。
俺がミーティアの借金を肩代わりィ!?
んな無茶な。
が、
「カイト様、こんな小さな女の子が2億ですよ。可哀想ではありませんか」
そんな、つぶらな瞳で訴えられても。
情で商売はできないよ、ルナ。
でも。
俺を救ってくれたルナの頼みである。
断るのもな。
そうだな、肩代わりね。
可能ではあるけれど、決して軽い話ではない。ある偉人が言っていた。……金は命よりも重いぞ、と。だからこそ、俺は金に関してはかなり慎重であるつもりだ。
「――――――」
俺は思い出す。
あのギルドマスターに罵られ、残酷に捨てられた光景を。
…………俺は、
あんなヤツのような存在にはならない。
俺は商人で、彼女は大切なお客さん。
だから、俺は人間の未来を託された存在なんだ。
顧客第一主義。
それが俺の信念であったはず。
少なくとも、ミーティアは魔法使い。彼女に投資してみるのもいいだろう。
「うん」
「カイト様……?」
「分かったよ、ルナ。この子の借金を肩代わりはするけど、言い方を変えよう。投資する。魔法使いは貴重な戦力だからな」
「ほ、本当ですか!?」
驚くミーティアは、思わず立ち上がっていた。そして、目尻に涙を溜めて――
何度何度も頭を下げた。
「ありがとうございます。ありがとうございます……っ!」
そうだったな。
俺は大切なことを忘れるところだった。




