【18】 古物商許可証
理不尽は続いたけど、幸せな事もあった。
ルナとの新生活だ。
彼女は優しくて、笑顔を向けてくれた。
家事もテキパキこなすし、料理も美味くて驚いた。万能メイドすぎて、なぜ彼女はひとりあの場所にいたのだろうと不思議に思った。
けれど、俺は敢えて聞かなかった。
今は幸せだから、これで良い。ルナが傍にいる、理由はそれだけで十分すぎた。
「俺好みの濃い味……なんて絶妙な塩梅だ。素晴らしい。最初から俺の好みが分かっていたみたいな……ルナには人間の心を読む力でもあるのかい?」
「ふふ。褒めていただき嬉しいです。男性は濃い味の方が良いと、母から教えて戴いたので」
なるほどね。
ルナの母さんか。さぞかし美人なんだろうな。
ま、とにかく。
「なあ、ルナ。明日から本格的にレベルの売買を始めようと思う。幸い、帝国発行の『古物商許可証』も持っているし、直ぐに商売を始められるよ」
「わぁ、カイト様は帝国の許可証を所持しておられたのですね」
「まあ……元は『シャロウ』のメンバーだったからな。追放されたけど。でも、あの時代からのコネとかもあるしな。そういう意味では、俺は商人としてかなり有利だろう」
認めたくはないが、あのギルドの影響力は絶大だった。この服のエンブレムといいな。ちなみに剥がさないのは、利用してやるつもりだから。
すでにしまくりだけどなっ!
シャロウの影響力、ゴミになるまで徹底的に利用してやる……フフフ。