プロローグ 〜ヒロイン登場?〜
これから頑張って行きます。
是非とも、応援よろしくお願いします!
突然ですが、皆さんは詐欺を知っていますか?
最近怖いですよねぇ、振り込め詐欺や、オレオレ詐欺、さらにはキャッシュカード詐欺など、色々な詐欺があって嫌な感じですよね。
特に、ご老人の方々、本当にお気をつけください…。
若者はまぁ多分大丈夫でしょう(適当)。
あ、自己紹介がまだでしたね。
俺こと「村山 航輝」は、都内に位置する名門校、「東坂学園」に通う高校生である。
この春から、二年生に進級し、青春を謳歌している…訳でもなく…。
そう、俺は、絶望的に平凡なのだ。
顔も、身長も、運動も、何もかもが平凡すぎて、この人生恋人なんてものはできたことがなかったのだ。
強いて特徴があるとすれば、少し頭がいいくらい。
高校入学当初は、俺にもやっと春が来ると思っていたのだが…、どうやらここでも俺は平凡オブ平凡だったらしい。
さて、自己紹介はこの辺にしておいて。
時計を見てみれば、時刻は朝の七時。
そろそろ、登校しなければならない時刻だ。
両親は、夜勤明けで寝ているし、俺は一人っ子だ。
なので、当然、朝飯はない。
いつも、千円札と、「これで朝飯と昼飯食え」というメモが置いてある。
ってこのメモ昨日の使い回しじゃねぇか!
俺は、文句を垂れながらもその千円札を財布に入れ、「行ってきます」と言って家を出た。
ドアの鍵を閉めていると、後方から「航輝」と低い男の声で、名前を呼ばれた。
振り返ってみると、そこには…
「…光か」
俺の唯一無二の友達、「斎藤 光」が居た。
こいつは、俺と違って超イケメンのスポーツマン。中学の時からの付き合いだが、それはそれはモテた。
ちょっとしたファンクラブができるくらいに。
昔からテニスをやっているらしく、中学の時には大きな大会に出たとか。
え?そんなやつとなんで友達なのかって?
そりゃ、テニスの話で盛り上がったからだよ。
こいつはテニスの話になると目がなくてな、「昨日の大会見た?」とかちょー聞いてくるんだよ。
まぁ俺はテニプリしか知らないんだけどね。
もちろん、こいつも同じ東坂学園に通っている。
部活もテニス部に所属していて、こいつの朝練がない日には、いつも一緒に登校をしている。
今日も、そのために迎えに来てくれたらしい。
「おはよう。航輝」
「おはよ、光」
軽く挨拶をして、俺達は隣同士に歩き出した。
今日も、くだらない話をしながら登校するために。
「コンビニ寄っていいか?」
俺がそう、光に問いかけると「構わないよ」と言い、その長い足をコンビニの方向に向けた。
「ついてこなくてもいいんだぞ」
「どうせ、朝飯と昼飯だろう?俺も、昼飯を買わなくちゃいけないから」
そして俺たちは、コンビニに入店した。
朝飯用に、鮭のおにぎりを、昼飯用に、梅のおにぎりを購入して、俺はコンビニを後にした。
光はまだ選んでいるようなので、俺は大人しく、外で待つことにした。
ついでに購入したブラックコーヒーを飲みながら、俺は街の風景を眺めていた。
すると、コンビニ前の道端で少女が蹲っているのを見つけた。
どうしたのだろうかと思い、話しかけようと思ったが、どうも勇気が出ない。
まぁ誰かが、どうにかしてくれるだろうと、無視しようとした矢先、目が合ってしまった。
少女は俺を見つめたまま、何も言わない。
いや言えないのだろうか、そもそも距離があるし。
しかし、目が合ってしまっては、見過ごすことは出来ない。
なかなか踏み出せない足に、拳で一撃を浴びせ、俺は走り出した。
距離があると言ったが、せいぜい10~15m程度。
少女のいる場所にはすぐに着いた。
「大丈夫?」
大丈夫じゃないことは、見てわかるが一応聞いてみる。
しかし、よく見て見たら、めっちゃ可愛いなこの子…。
お人形さん見たいで美しい。
そんなことを思っていると、少女から弱々しい小さな声で返答が来た。
「…大丈夫…」
うむ、大丈夫じゃないねこれは。
どうしたもんかと首をひねっていると、
ぐぅぅー…
と、少女のお腹が鳴った。
なるほど、お腹がすいて動けなかったのか…。
ってそれどんだけ飯食べてなかったんだよ。
俺は、先程コンビニで購入した、朝飯用の鮭のおにぎりを少女に差し出した。
「これ、食べるといいよ」
(キリッ)
カッコつけてしまったようだ。
でも仕方ないね、相手は女の子だし、本能的にカッコつけてしまうんだよ。
少女は、差し出された鮭のおにぎりを手に取り、そのまま沈黙した。
…なるほど、指も動かないほどお腹が減っているんだな。
俺は、鮭のおにぎりをもう一度手に取り、袋を開けて、再び少女に差し出した。
少女は、それを受け取るなり、かぶりつき、数秒で食べ終わってしまった。
しかし、少女はまだ足りないと言いたげな顔をしている。
俺は、昼飯用の梅のおにぎりの袋を開けて、少女に差し出した。
少女は、かぶりつき、再び数秒で食べ終わってしまった。
すると、少女は立ち上がり、無言で走り去ってしまった。
「あ、ちょっと…」
「…随分失礼な子だね。礼も言わないだなんて」
いつの間にか、コンビニでの買い物を終えた光が後ろに立っていた。
「でも可愛かった」
「だよな」
「あの服…」
「どうした?」
俺が、問いかけると「いや、なんでもない」と光は歩き出した。
もう一度、コンビニに寄る時間はなかったので、俺と光はそのまま学校へと向かった。
教室には、予鈴ギリギリで到着した。
俺の席は、窓側の後ろから二番の目の席。
光の席は廊下側なので、俺たちは入ってすぐに別れる。
自席に座ると、後ろから「今日は遅かったね」と可愛いらしい声が聞こえた。
俺は振り返って、答えた。
「ちょっと色々あってな」
「いろいろ?」
この女の名前は、「平西 桃花」。
このクラスで、一番に可愛いと言っても過言ではないくらい可愛い。
それに胸も大きい(ここ重要)。
話す度ドキドキしてしまうが、まぁ話していて楽しいので嫌ではない。
「人助けをね」
「なにそれ。あ、そういえば今日転入生が来るらしいよー?」
「転入生?」
まだ、二年の始まりの方だというのに、一体どんな人なのだろうか。
そうこうしているうちに、担任である女性教師が教室へ入ってきた。
彼女は、手を叩き、俺たちに静かにするよう伝える。
「はい。皆さん。おはようございます。今日はホームルームの前に、皆さんに新しいお友達を紹介したいと思います。」
小学生に向けたような言葉を、言ったあと、彼女は「入ってきなさい」とドアの方へ声をかけた。
すると、そのドアがゆっくりと開けられ、その奥から見覚えのある人物が入ってきた。
「え…」
その瞬間、俺は戦慄した。
その人物は、そのまま教卓の方へ進み、先生の横に来て歩みを止めた。
「さぁ、自己紹介をお願いします。玲央くん」
そう、その人物とは、朝出会ったばかりの少女だった。
「── 東坂 玲央です。よろしく。」
いや、正確に言えば少年だった。
「それじゃあ玲央くんの席は…」
俺は、サッと立ち上がる。
「…航輝くん。どうしたの?」
担任が、俺に問いかけてくるが、俺はそれを無視し、俺を見ている彼を見つめた。
皆さん。最初に話したことを覚えていますか?
ええ、まさか男だったとは…。
これは間違いなく…。
「──詐欺だ。」
今ここに、新たな学園ラブコメディ(?)が始まる。
少女だと思っていた子は、オトコの娘だった…。