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しゃもじ おひつ の オムニバスゥ   作者: しゃもじ おひつ
13/16

忍者戦士 ぶた丸

時はケイチョウ7年

トヨトミがまだキノシタと名乗っていた頃、巷では怪しい宗教が流行っていた

その調査をすべく派遣された忍者を真似て、縁もゆかりも無い一人の忍者が

勝手に立ち上がった!

「と、言う訳でだ」

忍者装束に身を包んだ“ぶた丸”は振り返る

その視線の先には

忍者戦士 ”からあげ丸”

忍者くノ一 ”えろ丸”

の二名がほげーっとした顔で座っている

「・・・聞いてる?」

忍者戦士 ”ぶた丸”は

思わず二人に聞く

「・・・えーっと都で流行ってる宗教を調査に行った上忍の後を追うって?」

忍者戦士 からあげ丸が

そばかすだらけの顔の中心にある鼻をほじりながら言う

「何でそんな任務でも無い事を?」

忍者くノ一 えろ丸が

豊満な肢体をくねらせながらエロい感じを出す

「何でもかんでもいーーの!」

ぶた丸は名前の由来となった恰幅のいい体をゆすり恫喝する

「この辺りで我々の忍者組織の名前を売らないと!」

「売らないと?」

「おまんまの食い上げになるッ!」

「あらぁ、それはタイへぇん」

何だかんだで息の合った会話を展開する3忍

「だから行くぞ、都へ!」

ぐっと拳を突き上げて号令をかけるが

他の二人は乗り気でない

「ホレ、一緒にィ!」

「お~~~ッ」

「エ~~ぃ」

気の抜けた号令に乗った3忍は

ここに立ち上がった!(誰も望んでないが)



「で、意気込んできたは良いけどこれからどうすんの?」

至極まっとうな意見を述べる、からあげ丸

「バカモノ。調査の基本は潜入捜査と相場が決まっておる」

旅人に扮装した3忍は街道を歩いていた

「潜入ってどこへ~~?」

えろ丸は溢れ出る色気を隠せずに

旅人に見えない格好で付いてきている

「このまま街道沿いに歩いて関所を越えて都に入るッ」

「んで?」

「入ってから考えるッ」

「あ、そ」

「行き当たりばったりねぇ」

「五月蠅いッ」

何だかんだで息の合った3忍は街道沿いを行く・・・


暫く関所を目指してあるいていると

前方で何やら騒ぎが起こっているのに気が付く

「なぁぶた丸。アレって・・・」

「うん?どうやら野盗に襲われているようだが」

「助けないのォ?」

見ると荷車を引いた行商人一行が

野盗20人程に取り囲まれている

「先を急ぐ故、見捨てる!」

言い切ったぶた丸は我関せずとずんずん歩いて行く


「おうおうおう、有り金全部と荷物を全部貰おうかぁ!」

「ついでにそっちの若い娘っ子も貰おうかぁ!」

「おまけに命も頂戴しようかぁ!?」

行商人を取り囲んだ野盗一味は口々にあざけりの言葉を投げかける

「あぁぁお許しください、この荷は献上品ですのでお渡しするわけには!」

行商人の代表らしき人物がつるし上げにあっている

「ばぁぁ~か、そんな言葉でオレタチが見逃すとでもー」

「思ってんのかよぉ~~」

野盗の一人が背後から刀を振り下ろす

「ぎゃぁぁ」

「おとっつぁん!」

肩口を斬られたおとっつぁんが悲鳴を上げて倒れる

それをみて娘らしき女がすがりよる

「お~~っと、おめぇはこっちだぁ~~」

その手を掴み引き寄せる野盗の一人

「あぁっ堪忍してェ」

悲鳴を上げる娘を見て周りの連中がゲラゲラと笑いだす

野盗の下品な笑い声が響く中

その横をすたすたとぶた丸一行が素通りしていく

それに気づいた娘が声をかける

「あぁっお助け下さい!」

ぴた、と歩みを止めるぶた丸

がしかし

「先を急ぐ故」

そう言って頭からかぶった傘に指をかけると再び歩き出す

えぇッという顔になった泣き顔の娘

一瞬それを見逃しかけた野盗一味だったが

我に返るとぶた丸達の行く手を遮る

「おうおうおう」

「このまま黙って行かすと思うのかぁ」

「こらぁーー」

口々に罵ってきた

「先を急ぐ故」

するりと迂回して包囲を抜けるぶた丸

「まてまてまてッ!」

流石にここまでコケにされては、と

野盗一味が一斉に動き出す

「てめぇら逃がすと思うのかッ」

「一緒に身ぐるみ剝いでやるっ」

「女もいるじゃねぇか!?」

えろ丸に気付いた野党が興奮し始める

「うふん」

視線に気づいたえろ丸はウィンクで答える

「ひょう!」

色めき立つ野盗一味



「はぁ・・・」

ぶた丸はため息をつく

「しょうがないジャン?」

からあげ丸もあきらめ顔で肩から荷を下ろし始める

「結局、こうなるのよねぇ・・・」

えろ丸も衣服を脱ぎ始める

「おっおっおっ!?」

急に始まったえろ丸の脱衣ショーに皆の目がいく

その隙に忍者装束になったからあげ丸が

懐から小さな革袋をいくつも取り出す

「忍法・油火!」

言うや否や革袋を投げつける

バシャバシャと革袋から油が飛び散る

「な、なんじゃこりゃあ?」

驚く野盗一味へ向けて

からあげ丸の火種が飛んだ


一瞬にして業火に包まれた野盗一味

ぎゃあああ

ぐえええ

と悲鳴が上がる中

油から逃れた残りの一味が後ずさる

「何だ、こいつら!?」

「一体全体・・・」

業火におののく一味の背後から

半裸になったえろ丸が絡みつくように忍び寄る

「おいたはダメよ・・・」

耳元で囁くように息を吹きかけると

含み針を打ち込まれてバタバタと倒れていく

「うふふ・・・忍法・しびれ針・・・そのまんま、ねぇ」

あっと言う間に野盗一味は壊滅する


「きき、貴様らは一体!?」

野盗の親分みたいなやつが娘を抱えて呻く

「先を急ぐ故ッ」

言うが早いかぶた丸が体に似合わぬ素早い動きで

娘を奪還する

「忍法・ぶた変化ッ」

ぶた丸必殺の忍法が炸裂する

野盗の親分にぶた丸の秘術が炸裂すると

「・・・ぶきっ!」

野盗の親分は急にぶたの鳴き声を発し、四つん這いになって歩き始めた

ぶき、ぶきっっと鳴きながら徘徊する野党の親分を

からあげ丸が縄でふん縛る

「大丈夫ぅ?」

えろ丸が娘に声をかける

「え、ぇぇ。はい・・・」

えろ丸の豊満な乳房に圧倒されて押し黙る娘

「・・・うむ、おとっつあんの傷は浅いぞ。安心しろ」

ぶた丸が肩口を斬られたおとっつぁんを診てくれている

「あ、有難う御座います!」

礼を述べる娘に

「先を急ぐ故ッ」

身支度も慌ただしく

3忍はその場を立ち去っていく

「有難う、名も知らぬ方たち・・・」

その後ろ姿をうっとりと見送った娘


・・・だが背後ではからあげ丸が放った忍法で荷物が炎上しているぞ!

おまけに縛られた野盗の親分がぶきーぶきーと鳴きっぱなしだ!

おとっつあんも傷が浅いと言われただけで助かってないぞ!

しびれ針で動けない野党がいつ動き出すか解らないぞ!

早く気付け、娘っ子!


そんなこんなで3忍は都を目指す!

目指すったら目指す!

・・・



お馬鹿な3人組の奇妙な旅は

多分続きません!

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