第二話 婚約者なんてお断りいたします!
無理……
あちらこちらにいるブスを見ながらどう食事ができよう…
無理にも程がある喉を通らない
「エリカ、王太子との婚約が嬉しくないのか?」
「へっ?王太子と婚約?」
9歳ぞ?我、まだ9歳ぞ?
どういうこともしかして私の家って相当金持ちなんじゃ
はっ…そうだ今私は公爵令嬢なんだ
しかも我が家は俗に言うこのアリスノーワ帝国四大貴族のうちのひとつ、つまるところ大貴族だった
そしてこの国では王妃争いが生まれにくいよう王太子がその四大貴族から1人ずつ王妃候補として嫁をとるのだ
生憎この家は私しか娘がおらず私が候補に選ばれた
母は身篭ってはいるが性別は生まれてこないとわからない再来月に出産するらしい
妹だったら是非とも役目を押し付けさせていただきたい…
正直嫌だ、だって記憶の中で家族が口々に王太子は帝国一のイケメンだと言っていたのだ
つまりわたしからすればとんでもないブスだ
そんな男と婚約なんてわたしの未来は絶望だ
なんなら逃げ出したい
「それなのですがお父様、私お妃候補にはなりたくありませんし王太子さまとも結婚したくありません…」
「なんとっ!あのイケメンな王太子様だぞ!エリカ、そんな一度は会ってみなさい...会えば婚約したくなるはずだ」
「そうよあんなにイケメンな方と将来を誓えるなんて羨ましいわ、いえ貴方も十分美しいわよ」
やめてくださいお母様そんな顔の男とイチャイチャしないでくださいわたしの眼が死にます
「今度のお茶会には王太子も参加するらしいぜひ行くといい。お前も満足するはずだぞ」
無理だって言ってんのに…
「ではお父様それでも無理な場合は断ってもよろしいでしょう?」
ぜっっったいに引けない、私は王太子と結婚しない!!!!
唐突の娘の迫力に押された公爵は思わずうなずく
「うむ、そうだないやでも本当にイケメンなのだぞ?お茶会の後には前言撤回しているだろう……」
しないんだよな!!!それが!!
「私が王太子を気に入らない場合婚約解消お願いしますねそれでは」
うろたえる家族を他所に席を立ち部屋に帰る後ろについてくるリクに向き直し
「リク貴方は今日限りで私の従者を解雇しますあとは父にどうにかしてもらって」
とりあえず当分は侍女に囲まれて暮らそう……
両親は子供のわがままだと思って本気で請け負ってくれない
けれど私は王太子とも結婚したくないし醜男を側に侍らせたくもない
まずはお茶会の準備と1人ぐらいイケメンを買いに行こうかしら
元の記憶曰くどうならこの年の令嬢でも奴隷を持っていることはおかしな事として捉えられはしないようだ
特にこの国の貴族は奴隷を買いストレス発散として暴力的な使い方をしたり安価な労働力や実験台としていることが多い
否私はそんなことには使わないけれどこれは好都合だ!
早速明日お父様に言って市場にイケメン偵察に行こう…