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この仕事って労災きくんですね

 今朝出勤すると、昨夜の出動で坂城さんがケガをして重傷と聞かされた。

 異形との争いで切り付けられて、現在病院に入院中らしい。

 切り付けた異形は、現在こちらの特殊な格子で囲まれた部屋で拘束中。

 この仕事を始めて、班員がケガをしたと聞いたのは初めてじゃない。

 でも、入院するほどのケガをしたと聞くのは初めてだ。


『この仕事ってのは今日話した人が明日はいなくなることがある』

 研修中に言われた言葉を思い出す。

 そうだ。忘れてたけど、ここってそんな場所だっけ。


「んな、顔すんな。坂城の奴は大丈夫だ。そんなに深い傷じゃあない。血が出すぎただけだ。」

 僕の頭をグシャグシャにしながら、荒木さんが言う。

 あんたも腕に包帯がぐるぐる巻きになってるじゃないか。

 

 僕の視線に気づいた荒木さんが頭をかきながらため息をついた。


「俺は大丈夫なんだよ。班長が来てくれたから。そんなに心配なら坂城の見舞いにでも行くか?」


 ――業務終了後、僕と荒木さんは坂城さんが入院している病院へ行った。葛西班長と影野さんは事後処理を済ませてから病院へ向かうそうだ。


 坂城さんがいる3階の突き当りの個室へ向かう。

 大丈夫かな坂城さん。生きててくださいね。



「一応着替えはいっぱい持ってきたで。この袋がそうやから。はい」

 部屋に誰かいる。誰だ?


「しっかしなぁ、なにしたらこんなケガするん?」

 声からして、若い女性みたいだけど。すっげー関西弁。


「あー、仕事で。気を付けてたんだけどね。あ、そこに入れといて」

 坂城さんだ。何か大丈夫そう。



 コンコン。

 病室のドアをノックする。


「おー。坂城。大丈夫か」

 返事が来る前にドアを開けて荒木さんが入っていく。


 ちょ、ほんと常識がねぇーな、この人。


 続けて僕も入っていく。


 ベッドの上で上半身を起こして苦笑いしている坂城さんと目が合った。


「あ、東条君も来てくれたんだ。心配かけちゃってごめんね」

 坂城さんの声を聞いてほっとした。


「あ、あの、これ、お見舞いの品です」

「えー。そんなに気を使わなくてもいいのに」


 にこにこしながら受け取ってくれる坂城さん。いつもと変わらない様子で、何か安心した。

 隣にいる女性に見舞いの品を渡している。


「坂城。誰?そいつ」

 荒木さんが指さしながら訊いた。

 僕も気になる。20代後半くらいかな。黒髪をハーフアップにして、可愛い顔してる。スタイルもいいし。 ま、背が高いから僕の好みではないけど。てか、ほんと誰?


「人の妹に指をさすな。僕の妹の周子だよ」

 坂城さんは荒木さんの指を叩き落としながら紹介してくれた。


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