さっさと片付けましょう
30分ほどで仕分けが終わったので、みんなに配るついでに西課長に他に処理するものはないかを訊く。
「えー、東条君。あれ終わったの?」
「終わってません。仕分けが終わっただけです。課長、他にはありませんか?なければさっきの書類の処理をしていきますが」
僕がそう言うと、西条班長がそっと書類の束を渡してきた。
これ異形引き渡し関係の書類じゃないか。こういうのは早くしないと、あっちの担当者が困るんですよ。
西条班長から書類をひったくると、馴染みのあちらの担当者に電話をする。向こうと話しながら、精算関係の処理を進めていく。
あちらの担当者に引き渡しする異形の照合をしてもらっているうちに、各部署へと連絡をして引き渡しの事前連絡をする。詳しい日時は向こうと調整しなきゃいけないけど、こうして事前に連絡しておけば、関係各所も余裕をもって対処してくれるからね。
根回しって大事。
向こうから返事がきたので引き渡し日時候補を教えてもらって関係部署へ連絡。
さて、精算関係はPCに打ち込んで申請し終わったし、各部署との調整関係のやつは明日各部署を訪ねて話をしようっと。
どの部署から行こうかなー、なんて明日の段取りを考えていると、部署のみんながじっと僕を見ていた。
えっと、何でしょうか?
「いやー、すごいね。東条君ってば見かけによらず仕事が早いからびっくりしちゃった」
西課長に褒められてちょっとうれしかったけど、こんなの社交辞令だよね。
「このくらいは普通でしょう。それよりみなさん自分の分は終わったんですか」
相馬さんは終わったみたいだけど、他の人たちはもう少しかかるみたいみたいだな。
本部所属ってことはこう見えてみんな優秀なんだし、ここ最近忙しかったみたいだから、書類が溜まってただけなんだよな。
そう思いたい。
都築さんと西条班長のタイピング速度、見てて不安になる。報告書苦手なのかな。
そろそろお昼だし、ご飯食べたいなぁ。
「あっ、ごめん、東条君。言い忘れてたけど、午後は特殊5課に行ってね。魔女関係の色々はあそこが担当することになってるから、ちょっと打ち合わせしておいで」
僕がお昼ご飯に想いを馳せていると、西課長に声を掛けられた。
そういえば、僕は魔女に呼ばれたからここにいるんだっけ。葛西班みんなからの罰で本部送りの刑になったんだと思ってた。
えー、5課なんて行かなくていいよーと言う藤村さん。心なしか相馬さんも機嫌が悪くなってませんか。
えっ、何?特殊5課って嫌われてんの?