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坂城さんが黒かった

 坂城さんの圧から解放されて涙目になっているサクラちゃん。とばっちりで圧を受けていた僕も解放されて涙目になった。怖いよ、坂城さん。


「妹と話をしたかったら、あいつに直接言いなよ。いちいち僕の許可はいらないよ」

 突然、坂城さんがそんなことを言い出した。

 思わずサクラちゃんと顔を見合わせる。

 

 いやあなた、絶対話はさせないって達見さんに言ったって聞きましたよ。

 何企んでるんですか?


 サクラちゃんと二人で涙目のまま坂城さんを見つめる。


「いや、別にね、周子も大人だし。僕がどうこう言うこともないでしょ」


 本音は?


「君が周子と話をして成果を持ち帰れば、部下に出し抜かれたって達見の評判が落ちるだろ。がんばってくれ、佐倉君」


 サクラちゃんに笑いかけながら本音をぶちまける坂城さん。まだ怒っているんですね。その笑顔、真っ黒ですよ。



 きっちり15分後に帰ってきた妹さんに、坂城さんは改めて僕たちのことを紹介した。


「そういう訳で、お話をお伺いできないでしょうか。お時間は取らせませんので」

 こういう風に話をすると交渉課って感じだよね、サクラちゃん。


 大丈夫だよー、と軽いノリで受けてくれる妹さん。よかったね、サクラちゃん。

 

 と思ったけど、妹さん次の言葉で固まった。


「あ、でも昨日葛西さんにも話したけどいいの?」


 妹さんが葛西班長の恋人だって忘れてた。えっと、サクラちゃんと妹さんを会わせたって班長にばれたら僕はどうなるんだろ。遠い目をした僕に気づいた坂城さんがどうしたのか聞いてきた。


 あ、坂城さんは妹さんと葛西班長が付き合っていること知ってるのかな?

 おそるおそる話してみる。


「えーと。葛西班長と妹さんがお付き合いをしているって聞いてて……」

 

 僕がそう言った瞬間、坂城さんが固まった。

「は?誰と誰が付き合っているって?」


 妹さんと話をしていたサクラちゃんも寄ってきた。

「何だ。葛西班長がどうした」


 サクラちゃんにも葛西班長と妹さんがお付き合いしていること、だから班長は達見さんに絶対会わせないと言ったことを教えた。


「あの人、意外と心が狭いな」

 サクラちゃんが呟いた。


「でも、そんな話は周子からも班長からも聞いてないけど。ガセじゃないの?」

「そうやね。昨日初めて会ったばっかりなんやし。カッコいい人やったけど、付き合ってはないよ」


 まさかのご本人からの否定。

 えー、どういうこと。だって、葛西班長が恋人だって言ったんだよ。

 

 僕が混乱している内に、妹さんとサクラちゃんとで話がまとまったみたい。

 何故かこれから一緒にご飯を食べることになってた。

 食べながら話を聞くんだって。


 ふーん。じゃあ、焼肉行きますか。


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