トラウマ 仕事
トラウマ
誰も私の恐怖には気づかない
足が震えている
心臓がバクバクと鼓動を刻み
耳の奥でドクドクと血が流れる音がした
友達でさえ気付かず、苦笑い
酔っ払いが絡んでいる
男が面白がって、女を追いかけ回している
ただそれだけの事
誰も彼もそ知らぬ顔
ああ、こんなものか
私の抱く恐怖など
この空間では風が吹くより些細な事
だって彼は知らないんだ、私に起こった事など
だって彼らは知らないんだ、私の傷など
だから平気で人の傷をえぐるのだ
悲しいけれどそれが現実
知らないから許される?
謝る彼に私は頷いた
友達の陰に隠れながら
言いたい言葉を飲み込んで
私はどうすれば良かったの?
泣いて訴えれば良かったの?
親にさえ言えない事をこの男の前で?
言える訳がないでしょう?
だから私は胸に手を当てる
私も知らずに、誰かの傷をえぐってはいないかと
仕事
私は夢見る
私の前の土塊が
皿になり素敵な料理が盛られ
誰かの笑顔に繋がっている事
私が仕事をするのは
お金の為ではあるけれど
その為だけでもないんだよ
指紋は削られ
手を荒れさせてしたその行為も
悪くないって思える
誰かの幸せに繋がっている事
仕事とはそういうものであって欲しい