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優しさ 鏡
詩と呼べるかどうかも分からない、言葉の欠片達です。
優しさ
赤ちゃんが泣き叫んでいた
ガタゴト揺れる満員電車の中で
息苦しさを感じる程の圧迫感
帰路への通過点
ある男が呟いた
満員電車に赤ちゃんを乗せるなんて、可哀想だと
可哀想?
その母親はただ黙っていた
私は考える
赤ちゃんが可哀想と言ったその男と
早く安心できる家に帰してあげたいと思う母親と、
はたして、
本当に優しいのはどっちなのだろう?
鏡
あれは小学一年生
小学校の、トイレの鏡に映った顔にギョッとする
お前誰だよ?
ああ、私か
家の洗面所は大人サイズ
お風呂の鏡も大きくなかった
背も低かったし
全て写り込まなかったのだろう
何より無頓着だったのだ
自分の顔と言うものに
私にとっての身近な顔は
親だったり兄弟だったり
友達だったりしたのだろう
お前誰だよ?なんて、そんな新鮮な驚きは
あの頃の私と同じ歳の娘には
分からないかもしれない
鏡の前で笑顔を作り
ポーズまで決めてみせる彼女には
最後までお読み頂きありがとうございました。
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