о●第8話●о
「はっなぁ――――っ♪」
「ぐぇっ」
突然後ろから抱き付かれ、変な声を出してしまう。
ってか、おいおいおい。 俺は今日から寮生活で、もう朝抱き付かれる事はないと確信していたのに。
「何で俺はまた抱き付かれてんだよ!?」
「波那が可愛いから♪」
あー殴りたい☆☆
「おはよう、姫」
不意に聞こえた声。 だーれが姫じゃボケ。
「ねぇ波那…」
樹が相変わらず抱き付きながら不満そうな声を漏らした。 ってかお前体重掛けんな。 重い。
「なんでコイツ…菅野に姫って呼ばれてんの?」
「……言いたくない」
何故に自分のコンプレックスに自ら触れなきゃならんのだ。俺は樹の腕を振り解き、教室へと歩を進める。
樹が泣きそうな顔をしてたなんて、気付く訳なかった。
◆
「あの…」
不意に声を掛けられ、立ち止まる。 そこには数人の男子生徒。(男子校だから当たり前)
「杉倉君、生徒会入ったって…本当?」
「へ?何で知ってんの?」
昨日決まったばっかなのに。 俺が肯定を表す反応を示すと、生徒はいきなりざわつき始めた。
「やっぱりそうなんだ!」
「さすが…」
「あと2人いんだろ?」
「1人は杉倉波那と同じクラスだって…」
「生徒会に1年から3人も出るなんて異例じゃね?」
「生徒会って……あの…?」
え? え? え? 何で皆さんそんなざわついてんの?
「掲示板、見てないの?」
問い掛けに、俺は頷く。 自慢じゃないけど掲示板とか見た事ないね。
「生徒会就任のお知らせ、貼ってあるよ」
まじか。 仕事早いなオイ。
好奇心に釣られ、掲示板がある所へと引き返す。 少し離れた所に、静や靖佳ちゃん達の姿を見付けた。
そして、目的の“お知らせ”へと目を向ける。
◇
*生徒会就任のお知らせ*
この度、新しい生徒会役員が決定致しました。
о生徒会会計−1年A組 菅野静
о生徒会書記−1年D組 木松靖佳
о生徒会長補佐−1年A組 杉倉波那
※生徒会について
生徒会長・琉崎里玖をはじめとする生徒会執行部は、本校において最高権力者とする。
主に危険事項以外ならば、学校行事等は生徒会執行部の自由を許可する。
生徒会役員への不満等がある場合は、【リコール】を許可する。
*以上*
◇
えー…っと。 ツッコミどころはいっぱいあるんですけれども。 とりあえず。
“ 最 高 権 力 者 ” って――――どういう事??
第9話へ続く。。。