о●第4話●о
「あの……会長?」
「んー?」
俺に抱き付いたままの生徒会長は、気の抜けた返事を返して来た。
「そろそろ離してもらえませんかね?」
「やだー」
“やだー”じゃねぇよ!! 男に抱き付かれてるこっちの身にもなってみろってんだ!!!
「里玖」
会長をその名で呼ぶのはこの場に1人だけ。
「何?千聖」
「杉倉君、困ってますよ。そろそろ離してあげたらどうです?」
「やだ。だってコイツ可愛いんだもん」
意味分かんねーよ。 絶対コイツ樹と同類だ。 ってか……。
「それなら、あっちの靖佳ちゃんの方が可愛いと思いますが…」
指を差すと、靖佳ちゃんは驚いて目を丸くした。 やっぱかーわいーっ。
うん。 って事で手ぇ離せコラ。
「…俺は波那みたいなツンデレが好きなのー」
ブチッ
俺の中で何かが切れた。
「離せって………言ってんだろぉぉッッ!!!」
変態会長の鳩尾にパンチを喰らわす。
小さく呻き、会長の手が緩んだ。 それを良い事に藤川先輩の後ろへと隠れる。
「大丈夫?杉倉君」
菅野先輩が心配そうに尋ねて来た。 とりあえず笑顔を返す。
「すいません、あの馬鹿が……」
すまなそうに謝る藤川先輩。
菅野先輩は、他の役員がやめたのは藤川先輩だって言ってたけど、どうも信じられない。
「悠さん、俺達もう帰ってもいいですか?」
おう、静。 この流れでそんな事さらっと言えちゃうお前に俺はビックリだぜ☆
「あ、言い忘れてました。生徒会役員は寮生活をする決まりなので」
これまた静に負けないくらいさらっと言ってのける藤川先輩。 オプションとして笑顔付き。
えっと……。 寮生活ってアレですよね?
この校舎の隣にある学生寮(無駄にデカイ)で、学校以外の時を過ごす…。
まぁ、生徒会役員以外にも寮生がいるっていうのは知ってたけど。
生徒会役員の決まりって事は、この変態生徒会長も寮生活な訳で……。
「それって俺らに拒否権――――…」
「ありませんよ?」
「…ですよねー…」
ははは……。 さらば俺の平和な高校生活…。
ちょっと憧れたりする寮生活。
でも男だらけっていうのはちょっと…。
第5話へ続く。。。