о●第23話●о
「うっわぁ―――…」
ずらりと並ぶたくさんの屋台に、瞳を輝かせる。 焼きそばにたこ焼き、りんご飴に綿菓子っと…。
どれから食べようかなぁ。 ……やべ。 涎出て来た。
「姫、涎」
「わ、分かってるよ!」
静に指摘され、歯を剥く。
「なぁ、俺一緒に来て良かったのか?皆生徒会の人らじゃん…」
樹がガラにもなく心配そうに呟いた。 その頭を、背伸びして撫でてやる。
「いーのっ。そんな事気にするなんてお前らしくないぞっ」
俺がそう言うと、樹は瞳をうるうるさせて。
「波那ぁ―――っ」
勢い良く抱き付いて来た。
うーん…。 確かにこういう方がお前らしいけど…、やっぱ嫌だな。
「分かったから離れろ」
べリッと樹の体を引き剥がす。
ちくしょー。 長い腕しやがって…。
「あ、杉倉君達、もう来てたんだ?」
背後から聞こえた声に振り向く。 そこにいたのは。
「…わ、和服美人……」
浴衣を着た菅野先輩と藤川先輩だった。(ついでにラフな格好のバ会長)
「すごーいすごーいっ!先輩きれーっ」
ありえないよ! この2人ホントに男!?
「ありがとうございます、杉倉君」
「なんかテレるなぁ」
そう言って笑う姿もまた綺麗で、すごいなーと思う。
「波那、何か食いたいのあるか?買ってやるぞー」
……このバ会長。 馴れ馴れしく肩を組むなっ。
「あ、そういえば…、木松君は来れないみたいです」
「なんかお兄ちゃんが許してくれないとか」
菅野先輩がふふ…っと笑う。
くそっ、木松め…。 靖佳ちゃんの浴衣姿が見れないじゃんかっ。(もはや会長並み)
絶対可愛いのになー…………って…。 似合いそうなのは靖佳ちゃんだけじゃないじゃんっ♪
「なぁ静っ!お前浴衣――――」
振り向くが、そこにいたのは樹だけ。
「あれ…?なぁ、静は?」
「え?さぁ…」
樹も首を傾げる。 お前まだ静と仲悪いのか?
「何?静いないの?」
「あ…、はい…。さっきまでいたんですけど……」
静が何も言わずにいなくなるなんて…。
「んー。大丈夫じゃない?静の事だから、何かあったら電話なり何なりするだろうし」
「まぁ…、そう…ですよね」
俺や樹ならまだしもあの静だし。
きっと、大丈夫だろ。
第24話へ続く。。。