о●第2話●о
今、入学式の真っ最中。 男子校だから、辺りを見渡しても可愛い女子など見付かるはずもなく、
隣のクラスの樹と目が合い、すっごい笑顔で手を振られるだけ。
あー…くそ。 返せ俺の青春。
「次は生徒会からの挨拶です」
司会をしている教師がそう言った瞬間、周りから“おおぉぉぉ〜っ”と歓声が上がる。
ホラ、女子でいう“きゃああぁぁぁ〜っ”っていう黄色い歓声。
何? 何が起きてる訳? ってか、“生徒会からの挨拶”って何だよ。 普通生徒会長だけだろ。
自分からさほど遠くないステージへと目を向ける。 そこにいたのは俺より遥かに背の高い男子3人組。
1番背の高い金髪の男が、マイク片手に口を開いた。
「あー…。俺が生徒会長の琉崎里玖だ。――――ほい。後は任せた、千聖」
ひょいっと、隣の男にマイクを渡す。 随分いい加減だなオイ。
よりによってあんな金髪が生徒会長かよ…。 どうやって選んだんだ……。
やっぱり顔か? 身長なのかっ? くっそー…。
「新入生の皆さん、初めまして」
マイク越しに響いたその声に、俺は顔を上げる。
「入学、おめでとうございます。僕は生徒会副会長、3年B組の藤川千聖です」
凛とした声。 優雅な物腰。 相手は男だって分かっているのに、思わず見惚れてしまった。
3人目は、長めの黒髪をひとつにまとめた、これまた女だと見紛うような男。
…………ん? どこかで見た事あるような………。
「初めまして、ご入学おめでとうございます。千聖先輩と同じく、副会長の菅野悠です」
うん。 声はそんなに高くないからやっぱり男らしい。
………って、あれ? 今“菅野”って言ったよな?
俺の前にいる静の肩を、ちょんちょんとつつく。
「何?姫」
「姫じゃない!……じゃなくて。あれ、お前の兄貴か何か?」
すると、静は首を横に振った。
「悠さんは俺の従兄弟だよ。ひとつ違いの」
ふ〜ん。 どこかで見た事ある顔だと思った。
って事は、静も眼鏡取って髪伸ばせば、あんな女と間違われそうな美人になるって事?
すげー…。 見てみてぇー。 つかやっぱ静も女顔なんじゃん♪ 再び仲間意識が………。
俺が、ろくに話も聞かず物思いに耽っていると。
「最後に、少しお知らせがあります」
藤川先輩?が、相変わらず凛とした声で言った。
「1年A組の杉倉波那君、同じく1年A組の菅野静君、1年D組の木松靖佳君は、
式終了後、生徒会室まで来て下さい」
―――――はい?
俺、何かしましたか??
イキナリ呼び出しを食らった波那と静。
一体何故!?
そして木松靖佳君ってどんな人!!?
第3話をお楽しみに〜☆