о●第19話●о
カーテンの内に広がる光景を見て、俺は言葉を失った。
「……た、つき…?」
確かにそこにいるのは樹のはずなんだ。 その証拠に、彼は俺を見てにこりと微笑んだ。
ただ…、頭部、右目、首、右腕、右足……、至る所に痛々しい包帯を巻いて。
「な…んで……」
何で俺の為に。 俺はあの日の約束なんて忘れていたのに、どうして俺よりも酷い怪我を負ってまで助けるんだ?
「波那…、怪我、ない…?」
首を怪我しているからなのか、掠れた、とても小さい声で樹は言った。 俺は首を縦に振る。
ホントは全身打撲で、左腕骨折してるけど、こんなの樹の怪我に比べたらどうって事ない。
「そ…っか。良かった…」
痛い…。 何でそんな顔で笑うんだよ。
「ねぇ…、波那…?」
「ん…?」
樹の辛うじて自由な左手には、あの赤いボンボンの付いたゴム。
「俺…、波那から貰ったこのゴム……付ける資格、ある……?」
そう尋ねるこいつの顔は、今にも泣きそうで。 つられてこっちも涙目になった。
約束、ずっと忘れないでいてくれたのに。 命を張ってまで俺を助けてくれたのに。
何でこいつはこんなにも心配そうなんだろう…。
樹の手からゴムを取り、彼の茶色い髪へ手を伸ばす。 包帯のせいで少し手間取ったけど、
このゴムで初めて結んであげた時のように、長い癖のある前髪を結い上げてやった。
『このゴムに誓って、杉倉君は俺が護るよ』
『じゃあ、お言葉に甘えて…、よろしく。約束だよ?』
1番赤いボンボンが似合うのは、お前だよ―――……樹。
はいー。
たっちゃん編、これにて終了ですw
どうでしょうか? 良い話っぽく書けましたでしょうか?
CHERRYはまだまだ続きます★