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о●第18話●о


空が、だんだん遠ざかって行く。 体が、ふわりと空気に包まれて。


「――― は な ―――」


地面へと近付いて行く事への恐怖からか、自然と薄れ行く意識。

そんな中で、聞き慣れた声が俺の名前を呼んだ気がした。



 ◆



―――ピッ、ピッ、ピッ、ピッ……


微かに響く機械音に、そっと目を開ける。 目の前に広がるのは、白い――…壁?

あぁ、違う。 天井だ。 所々に蛍光灯が見える。


「姫っ!?」

「杉倉君!?」


白い天井を映していた俺の視界を遮るように覗き込んで来るいくつもの顔。


「僕らの事、分かりますか?」

「………静と、靖佳ちゃん。藤川先輩、菅野先輩、それに…会長」


それぞれの名を答えると、皆はほっと息を吐いた。 俺は状況を理解出来ないまま、起き上がろうとする。

が、体のあちこちがズキズキと痛んで力が入らない。


「あぁ、動いちゃ駄目だよっ」

「全身打撲、左手骨折」


うわ。 どうりで痛い訳だ。


「あの連中は即刻退学だ。…ったく馬鹿が!だから1人で行動するなって言っただろ!」


琉崎に怒鳴られ、ビクリと体を震わせる。 まさか、こんなに怒られるとは思っていなかった。


「あいつがいなけりゃお前、今頃死んでたぞ」


琉崎が横を指差した。 その先には隣のベッド。 しかし、カーテンが引かれている為、中までは見えない。


「姫を庇って一緒に落ちるなんて……」


庇う? 俺を? 一体誰が―――……。


 『――― は な ―――』


「っ!」


意識を失う間際に聞いた声。 あの声は、紛れもなくあいつの…樹の声だった。


「ちょ…っ、杉倉君!?」


突然起き上がった俺に、皆驚愕の声を上げる。 あぁ…、痛い、痛い、痛い、痛い。

全身がありえないくらい痛いけど、その重い足を引き摺って、隣のベッドを囲うカーテンに手を掛けた。




第19話へ続く。。。



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