о●第15話●о
樹の奴、一体急にどうしたんだろ…。
「明日の午後、就任式がありますので―――…って聞いてます?杉倉君」
「へっ!?」
すいません、全然聞いてませんでした。 くっそー…。 樹の事が気になって集中できねぇ。
「もう一度言いますよ?」
はい、是非お願いします。 ってか藤川先輩、恐いから怒んないで…。
「明日の午後、体育館で生徒会の就任式があるんですが、気を付けて下さい」
気を付ける?
「どうしてですか?」
「生徒会に反感を抱いてる奴らがいるからだよ」
変態会長――琉崎が、椅子をギシっとしならせながら言った。 よう。 久しぶりだな、バ会長。
「反感〜?あれか。会長があまりにもいい加減だから…」
「ちっげーよ」
何だ違うのか。
「杉倉君、生徒会執行部が最高権力者って事は知ってる?」
いつにも増して、真剣な表情の菅野先輩。
「あ、はい。掲示板のトコで初めて知りましたけど」
そういえば気になってたんだよな…。 生徒会といえど、所詮は生徒。 権力なんて握らせていいのか?
「この学校は、生徒からの意見を大いに取り入れる為、生徒会に大方の決定権を託しているんだ」
「ま、その最高者がこの里玖っていうのがどうしても納得出来ない人達なんかが反乱を起こす訳です」
なんだ。 結局会長が原因じゃん。 ってか反乱って……いつの時代だよ。
「俺に関してだけじゃねぇだろうが」
「まぁね」
「学校に楯突こうとする奴らが、俺らの邪魔をして来んだよ…」
苛立たしげに琉崎は舌打ちした。
「それで、明日の就任式にも邪魔が入る可能性があると」
静も琉崎と同じように面倒臭そうな顔をする。
「可能性っていうか…、もう大方確定事項なんだよね」
この口調からすると、前回の就任式なんかでも邪魔をされたんだろう。
「でも…、気を付けるって言ってもどうすれば……っ」
靖佳ちゃんの小さな問い掛けに、藤川先輩はふぅっと息を吐く。 結構悩ましい事態らしい。
「とりあえず、無闇な行動は避ける事。あと1人での行動も注意した方がいいですね」
1人になるな、と。 結構事は重大そうだ。
「波那は俺と行動を共にすれば問題な――…」
「黙ってろこの変態」
………え?
言っとくけど、今の台詞俺じゃないよ!? にっこり笑顔の藤川先輩だから。
「とにかく!皆今日は早く寮に帰って、明日に備える事!」
菅野先輩の言葉を合図に、俺達は生徒会室を後にした。
第16話へ続く。。