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о●第11話●о


「俺…、藤川先輩ってもっと女々しい人かと思ってたよ…」


背は高いけど、白いし細いし…、かなりの女顔だし。 まさかあんな腹黒い一面を持っていたとは。


「俺は何となく分かってたけど」


静の言葉に、俺は目を丸くする。


「何でっ!?何お前…、エスパー!!?」

「んな訳あるか」


ズビシッと、軽いチョップを喰らう。 おい静…。 “姫”って呼ぶくらいならもう少し敬ってくれ。


「悠さんからちょこっと聞いてたんだよ。3年の副会長は一見優しそうだけど、中身は恐いって」

「へぇ……」


知ってたんなら早く教えてくれれば良かったのに。


「じゃあやっぱ他の生徒会役員さん達が辞めていったのって……」

「藤川副会長の裏の顔を知ったから」


あぁ…、やっぱり…? だよなー。 あんな美形だらけの生徒会、自ら辞める人なんて

めったにいないよなぁ…。 ってかそれほど恐いのか藤川先輩。


「俺も辞めたいなー…」


ぽつりと呟くと。


「え…?杉倉君…、辞めちゃうの…?」


ぎゃ――ッッ!! やめてっ! そんな目で見ないで靖佳ちゃん!! 僕辞めないからっ!!

ふるふると首を横に振ると、靖佳ちゃんはふにゃっと笑った。 それはもうホント可憐に。


「うはーっ。超可愛いマイハニー!」


ぎゅっと抱きつく。 うわ細くてちっさいなハニー。 ちっさい事に関しては俺も人の事言えないけどな。


「く、苦しいよ…。えっと…、ダ、ダーリン…?」


おどおどしながらも俺の悪ふざけにノってくれる靖佳ちゃんにキュン死…。


ふと。


「あ、波那…」


上から降って来た声。 顔を上げると、ガキっぽい笑顔が目に入った。


「樹?何してんだ?こんな所で」

「何って……波那の事待ってたんだよ」


満面の笑み。 こいつ花に例えたら、絶対向日葵だ。

それにしても、生徒会終わるまで待ってるなんて……律儀な奴だな…。


「別に待ってなくてもいいのに。お前寮生活じゃないし、大変だろ?俺なら静と靖佳ちゃんと帰るから…」


俺がそう言ったのは、ただの良心からだったのに。

この一言が樹を傷付ける事になるなんて、知らなかったんだ。




第12話へ続く。。。



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