水の世界の話
初投稿ですよー
少し話をしようと思う。
僕が回ったいくつかの世界の話だ。
大量の水に覆われた世界、活火山と砂漠の世界、植物の生い茂る世界、金属で構成された世界、常に光の差す世界、永久の闇に包まれた世界、特に特徴のない世界。
世界はひし形の頂点に位置する形とその中央に存在する。 合計で七つだ。 あっ…ひし形の外もいれたら八つかな。
そんな世界の話を僕はしようと思う。
まず、最初は水の世界の話からかな。 なぜこの話が最初かというと僕が覚えている世界の中で一番古い記憶だから。 まぁ一番古いというだけあって、覚えていることも一番少ないし若干あやふやだったりするけど…気にしたらダメだよね。
水の世界というだけあって、この世界は水で覆われているといってもいいくらい水で溢れた世界となっている。 水といっても色々あって、淡水、海水、氷山など様々な状態で存在する。
そんな大量の水で溢れた世界だけれどそんな世界でも陸は存在している。 細長い島、平べったい島、ごつごつした島など様々な島々だ。 しかしその島で一生をおとなしく過ごせるのか?というと答えはノーだ。 なぜならどんなに水抜が高い島であっても沈むし、氷山でできた島であっても溶けるのだ。 なにそれ…と思うだろう?けれどこればっかりはどうしようもない。
なぜ沈むのかというと水の流れがいつの間にか変わっていることが原因だ。 流れが変わったくらいで沈むのか?と思うかもしれないが沈むのだ。 なんせ水が立ち上がったり、いきなり裂け目ができたり、津波が起こったりと変化は様々だ。 なぜ流れが変わるのかを研究している人もいるらしいけど、いまだ原因は不明だ。 まぁ調べようと思っても渦潮に巻き込まれたり、波に攫われたりといった水の危険、魔物の襲来、流れがいつ変わるのかも不明なので調べようがないけどね。
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こんな水が支配するといってもいい世界では船というものは必須である。 船といっても様々で、商船、軍用船、生活船、際物では浮遊船などがあり、どんな船でも一定以上の生活スペースと防衛力はもっている。 船は生命線なので当然ともいえるけど。
さて、そんな船はどうやって作っているのか?と疑問がわくと思う。 なんせ島が沈むため悠長に島で作ることができないしね。 その答えは船の上で船を作っているのである。 まぁ素材の問題や重量の関係で造船元の船と同じサイズのものは作れないけどね。
しかしこれでは造船される船はどんどん小さくなっていくことが予想でき、最終的に人が乗れなくなるのではないかと思うだろう? しかしそんなことはない。 なぜならこの世界の人たちは船を改造するスキルをもっているのである。
1つ例を挙げてみよう、2人で生活するのが精一杯の船があったとしよう。 そんな船を改造するためにスキルを使うと、どんな改造を施すのか選択肢が出るんだ。 まずこの段階で改造の方向性を決める。 方向性が決まるとその改造に必要な素材がわかるんだ。 素材がわかったら島々を巡りつつ素材を集める。 素材は集まると光とともに消滅し、時間経過によって船が改造されるといった感じだ。
ちなみにこのスキル、水の世界では船の改造以外には使えないという不思議なものであり、船の判定は水の上で一定以上の生活ができる空間というものだ。 別のことにも使いたかったので色々と試したことがあるのだけれど、まったくスキルは発動しなかったのはいい思い出だ。
改造できるなら新しい船を作らなくてもいいのでは?と思うかもしれないがそううまくはいかなくて、素材集めは船が改造を重ねれば重ねるほど質・量・数が増え、さらに改造にかかる時間まで伸びていくんだ。 つまり改造するのにかかる時間と人口が増える速度を比べた時、収容人数をオーバーする現象が起きるのだ。 つまり人数が一定数以上になった場合は、新たに作った船で旅立ってもらう必要が出てくるのだ。 ようするに口減らしとか間引きだね。
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さて、旅立つ話が出たので少し僕自身の話をしよう。 今の僕の状態は単純だ。 今まで乗っていた船の収容人数をオーバーしないために旅立つ側の人間となったというだけだ。 僕としては今まで乗っていた船で一生を過ごしていたかったのだけど、運が悪かったとしかいえない。 なぜ運なのかだって?それはこの選定がくじ引きだからだ。 まぁくじといっても若い者からだけどね。
今回は6人の男女が選ばれ、この決定に対して泣いている者、怒鳴っている者、おとなしく受け入れる者、喜んでいる者、ぼけーっとしている者、おろおろしている者と全員反応がわかれた。 ちなみに僕は今更嘆いていても変わらないとわかっているのでおとなしく受け入れている者だ。
僕等が今回の旅立ちに際してもらえるものは、6人乗りの船と1か月分の食料、破損した場合の修復素材と工具、弓や爆弾といった武器だった。 これらをもらっても1か月ですら生き残るのは大変だ。 なんせ魔物がでるからね。
魔物は個人でいるよりも複数人のほうが生き残りやすい、なんせ単純に回りを見る目が増えるからね。 しかし例え魔物を見つけても倒すわけではない。 それは魔物が1匹で襲ってくることはまずないため、下手をすると乗員全滅なんてことがあるからだ。
旅立つといってもすぐではなく、選定された僕等は最長1か月の準備期間に入る。 この準備期間はとても大事なもので、現在位置から向かう島の決定、もらえるもの以外に持ち込む雑貨や武器、魔物の情報収集などすることは山ほどある。 そうして僕等は期限ぎりぎりで準備を終え、故郷を旅立ったのだ。
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旅立ちから少し経ったある日、恐れていたことが起きた。 魔物に襲われたのである。 魚型の大口の魔物5匹が、口を大きくあけて迫ってきたのだ。 人1人くらいならまる飲みできそうな大口である。 そんな大きな口に爆弾を放り込むこと怯ませ、その隙に全力で逃げた。
今回は口を開いて追いかけてきてくれたので逃げられたが、これが真下から迫ってきり、水鉄砲を撃ってくる魔物となると対処がなかなか難しいものとなる。 まぁ真下から迫ってくる魔物なら爆弾を水中に落とせばなんとかなるかもしれないが、水鉄砲を撃ってくる魔物が曲者だ。 遠距離から水鉄砲が飛んでくるので爆弾は届かないし、水鉄砲で船に穴が開いてしまうためだ。
僕等は魔物にこれ以上出会わないように船の音がでないように速度をゆるめたり、今まで以上に警戒しつつ船を進めることで、ついに第一目標である島までたどり着いたのであった。
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今回目指していた島は木々の多い島である。 ここで船を大きくし、武装するつもりである。 ちなみにこういった島に生えている木々は、たとえ水の中でも光合成や栄養の摂取をすることができ、水圧に耐える頑強さと水流に流されないだけの頑固な根をもっているため船の造船、改造によく使われている。
最初は船を大きくするところから始めるために、太く頑丈な木、細いけれどしなやかさのある木などいくつかを斧で切り倒していく。 いくつかの木を船に運んだところでスキルが発動し、5時間ほどで船のサイズが1.5倍ほどになった。
次にバリスタを付けようと思う。 今僕等がもっている遠距離武器といえば弓しかなく、水の中に撃った場合抵抗によって魔物にダメージが与えられないからだ。 スキルを再び発動し、バリスタの素材は木と石だとわかったので、せっせと素材を集め、3時間ほどで計3台のバリスタが設置された。 この日はそれで作業は終わった。
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今更ではあるが船に乗っている人を簡単に紹介しようと思う。
僕、グレン、サクヤ、アニス、イリーナ、フィーが船で旅立った者達だ。 くじ引きなのに見事に男女3人ずつっていうのは何か作為的なものを感じるけどまぁそれは置いておく。
まず男子。 グレンは大柄、わんぱく、感情の起伏が激しい。 サクヤは平均的な体つき、慎重、突発事項に弱い。
次に女子。 アニスは小柄、臆病、泣き虫。 イリーナは平均的、陽気、楽観的。 フィーは小柄、冷静、のんびり屋。
まぁ長年一緒に暮らしている家族ってわけでもないので紹介とはいいつつ、現状はこんなもんしかできないけどね。
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現在、僕等はこの島で採れる食料や改造用の素材を集めるために2人1組の3ペアに分かれて散策を行っている。 今回僕とペアになったのはアニスであり、これはあみだくじの結果だ。
木々が多いだけあってこの島は豊からしく、木の実や貝類、野菜といったものから、動物までいたので大量に食料を確保できた。 大量に採れるのはいいのだが、採りすぎてアニスが潰れそうになったり、狩ったイノシシの血を見てアニスがぶっ倒れたりと少々ハプニングあった。 素材の方はと鉄鉱石が少し採れたくらいで大した収穫ではなかったのが残念だ。 そうやって数日間その島で素材を集め、船を改造し、次の島に移動する準備を整えた。
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前の島でイノシシを狩ったと話をしたと思うのだけれど、呼吸とかはどうなっているのか疑問に思うことはなかっただろうか? この世界ではどこで生活するにも絶対に水のないところはない。 つまり水とうまく付き合えるように生態系が構築されているということだ。
例えば、沈んでいない島に動物がいたとしても、肺呼吸だけではなくエラ呼吸もできたり、水かきがついていて泳ぎやすくなっていたり、水を分解して酸素を作りだしたりと様々な形で適応しているのだ。 際物では呼吸しないという動物までいたりする。
そもそも僕等のように船という水から身を守ってくれるものが必要な種族はこの世界では少ない。 なぜ水と共に生きることができない種族が生まれたのか? それは3000年ほど前までは大陸というものがあり、そこはかれこれ1万年ほど沈むことがなかったそうなのだ。 そして長い年月のすえに生まれたいくつかの種族は水に適応した進化からはずれてしまい、大陸が沈むとなった時に船で脱出したという経緯がある。
しかし3000年もの間そんな種族が生き残れるものなのか?とまたまた疑問が出てくるが、どんな動物であれ能力というものがある。 これが、僕等が今まで生き残ってきた理由である。 能力には様々なものがある。 僕等の場合それはスキルで、先に挙げたイノシシの場合なら水流を操るといったものがそれに該当するだろう。 ちなみに水流を操って頭をガードしたり、水流でジェット噴射を行いとんでもない速度で突進してきたりと水の中であればこのイノシシは恐ろしい動物なのだ。 島というフィールドであれば倒すのは容易だけどね。
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魔物と動物。 この違いはなんなのか? 実際は僕たち人間が勝手に区別しているだけだが、能力のないものを魔物と呼んでいることが多い。
能力があるほうが危険なのではないかと思うかもしれないがそんなことはなく、能力のない魔物はとにかく大型でしぶといのだ。 言葉にすればただそれだけなのだが、単純だからこそ恐ろしい。 僕らが旅の最初に出会った大口の魔物がいたと思うけれど、こいつらは口の中で爆弾が爆発したにも関わらず怯んだだけなのだ。 これを倒すためには爆弾ならば火薬が3倍もしくはバリスタといった貫通力の高いもの、速効性の高い毒を大量に飲ませるなどといった手段が必要になる。