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06 緊急だったケイタイ

「へぇ~~良いな~~セリノ。ナンジャタウン行ったの。」

「嫌だよ!!」

「別にいいじゃん。血繋がって無いんでしょう、だって。」

「そういう問題じゃないよ。」

「だってカッコイイじゃん、あの人。」

「え~~そうかな?」

「そうだよ!!カッコイイよ身長高くてさ。スタイルも良いし。」

「でも・・細過ぎない?」

「えっ?そうかな普通じゃない?」

「ねぇねぇ皆セリノのカレシすっごいカッコイイだよ!!」

「チョット!!アミー!!」

「だって付き合ってるんでしょ。形式上だけど。」

「う~~ん・・・そうだね納得いかないど。」

「じゃあまたね皆。」


・・・・


 また、このサイクルが始まる校門を抜け住宅街を歩き一つ目の信号を通り、商店街に入る。

そして、西友が見え左の路地を歩くと亀森薬局が見えた。そして、いつもの窓をトントンすると助手席のドアが開いた。

たまにガタガタと音が鳴る年季の入った車とは裏腹に道路はスムーズに進み、進行具合は目的地まであっという間につく様な気がした。

その道中、お父さんはさり気なく言った。「セリノ無理しなくていいんだぞ。」

「えっ!?何が?」

「病院行きなたくなければ・・車で待っててもいいんだぞ。」

「えっ・・・いいよ。」

「でも無理してるだろう。」

「してないよ!!!!」

「見たら分かるよ。お前がエツコと接してる時。」

「・・・・・・・」

「なっ!お前は待ってろ。」そう言われたけが・・・・・・私はココにいた。

無意味な微笑みが病院内に鳴り響いていた。


 暗くカーテンが閉め切られたリビングはまだ昼間なのに薄暗かった。

野々日向団地704号室の中には、ただ一人は初馬の姿しかない。

父も義理の母も弟も外出している。皆各々の仕事があり生活費を家に収めているのだ。だが、ただ一人初馬だけが家に生活費を落としていない。

それに窮屈を覚へているのは、言うまでもない彼自身なのだ。

お腹をすかせた初馬は電子レンジの前でじっと待っている。その間にケイタイの音が鳴ったが、空腹に耐えきれずケイタイの着信を取るより先にレンジの取っ手に手が回った。そして、温められた弁当を取りインスタントのお味噌汁に湯を注いで一息ついた。そして、ケイタイを手に取り色々操作し始めた。

「さっき電話した?」

「ゴメンさっきレンジで弁当温めてたんだ。」

「うん。」

「そうなんだよね・・・マリエと別れてさ。今お金無いんだよね。」

「だからさ、家族に馴染めてないと言うか。」

「ハハ。大変だよ。」

「それにね、家のお父さんと義理のお母さんがねケンカしてて、最近上手くいっていないんだよね。」

「うん・・・だからさ。上手く僕が弟とイトコのセリノちゃんの中に回ってさお父さんと義理のお母さんを仲直りさせようと思ってるんだ。」

「・・・だから、セリノちゃんの男の子嫌いを克服させると言う口実を作ってさ。義理の母の懐に入るのさ。そして、お父さんと仲良くする様に企てるのさ。」

「えっ?卑怯?卑怯じゃないよ。だってさセリノちゃんの男の子嫌いを治す事も実際やってるしね。」


・・・・その話をしている初馬の表情には微塵も悪気が見えなかった。

そして、ケイタイの通話を終えてようやく弁当のご飯に箸をつけて暗いリビングの中でも、モクモクとご飯を口の中に運んだ。

食べ終わるとカーテンを開かずそのままソファーに横になって又眠りについた。


 黒板に次々と書き出される文字をひたすらノートに写している集団。彼女達は顔の色を一切変えずに、ただそれらの行為を行っている普通に見たら。それは、異常だ。

ただ今の現代人としては、それは、普通だ。

でも江戸時代位の人達が今のこの光景を見たらスグにその異常さを感じるだろう。だって、ただ黒板に書かれたモノを写すだけだから。それよりも、もっとやる事いっぱいあるだろうって思ってしまうだろう。

でも、結局はこの方法の法が一番効率がいいと思い江戸時代の人も納得して、早速学問の学びの時にこの方法を取るに違いない。

そして、室内の中ではカッカッカっと鉛筆やシャーペンの音が響き渡っているだろう。だが・・・

今の私の頭の中は真っ白だ。

極度に真っ白だ。

ただ文字を追って手が勝手に動いて真っ白なノートに雑な丸字が写し出されて小さな字や大きな字が行き場を失い。あいた微かなスペースにハマってしまった。

これがもしテトリスだったら、その右下の詰まった文字が全て消えてしまっているだろう。それ位私の頭の中は空っぽなのだ。すると・・

急にケイタイのベルが鳴り響いた。

又誰かのケイタイが鳴ったな・・・

この学校内ではケイタイのベルが鳴ったら、その場で取っても良いっていう決まりになってる。それは、前にこの学校にいた、ある生徒がケイタイが鳴っていたが授業中だったから、先生が怒って、そのケイタイまで没収してしまったのだ。

だけど、後から知ったのだけどあの時の電話は緊急で病院からだったと言うのだ。そして、結局その電話を取らずにいて家に帰ったら、その時に父親が事故で病院の中で亡くなってその子は親の死に目に遭えなかったと言うのだ。

それを知った母親はそれに凄い激怒して、その女の先生を懲戒免職に追いやったのだ。

それからだ。やたらと授業中の秩序が乱れたのは、でも、

私は思うんだよね。いくら緊急だからってマナーがあると思うんだよね。

本当に緊急だったら良いんだけどね。そういう事故とかさ。

でも、あからさま今その話し電話でしなくて、なくないってのも話してる子も普通にいるからね。

この前なんか授業している時2時に女生徒の電話が鳴って当たり前の様に電話取って皆がどうしたの?

何かあった?って

聞いたら親が赤ちゃんのオムツが無くなったから学校の帰りに買って来てと言う電話だったからね。『知らねーーよ!!』って感じだ。

私は親のモラルを疑うわ!!

普通子供が今授業してるって分かってたら、そんな小もない事で電話しないだろう。

でも奴等はそれが平気なのだ・・・・ってまだ鳴ってるのかよ!!早く取れよ!!

えっ!?

まだ取らないの!?バカじゃないの鳴ってるよ!!ずっと・・・って何?みんな私の所見てんの「えっ!?」・・・って私か!!

「はい、もしもし何?今授業中何だけど・・・・・えっ?」

私の真っ白だった頭の中がスグに文字数がパンパンになった。

・・・・マジで・・・

マジで!?「洸!!」


そこには、洸が眠っていた・・・・・すごく静かな顔をして。

「洸!!洸!!私だよセリだよ!!」

「・・・・・」

「洸・・・・・」

「・・・・・」

「仕事中鉄筋が落ちてきたんだって・・・」

「最初は意識はあったんだって・・・リカ・・リカは、どこにいるんだよ・・って言ってたんだって。」

私じゃないんだ。最後は私じゃないいんだ・・・この女だったんだ。

洸の最後の中にいたのは、私じゃなくて、この女だったんだ・・・ダラダラパーマのかかったその女はずっと洸の手を握ってずっと離そうとはしなかった。

私はそのままスッとその場を離れて病室を出た。

「セリノちゃん。もう行くの?」

「・・・・・」

「送ってくよ。」

「いい・・・・」

「送って行くよ。」

「・・いい・・・・」

「・・・そう、じゃあ待ってるから明日。」

「・・・・・」

「待ってるからね。」

「・・・・・」


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