05 マジ・ナンジャタウン
幼い頃の初馬が玄関の少し離れた所で立ち一人の女性の後ろ姿を見ている。
指の爪を噛みながら、その光景をただ、呆然と見る初馬は、ただ見ているだけだ・・・何もその女性には話をしなかった。そして、その女性は、外に出るともう二度とこの家には帰って来なかった。
すると、2年間、初馬はその女性を待っていると。その女性ではなく別の女性が、この家に出入りする様になった。そして、その女に子供ができた。そして、その子供に洸と言う名前が付けられた。
それまで、その女にくっつくように甘えていたのに洸が出来た途端に初馬は、孤独になって行く。
そして初馬は、一人空手に励むようになって行く、そして、次々と相手をなぎ倒し、頭角を表していく、すると最初に家から出て行った女性が初馬が出る空手の大会に見に来るようになった。
そして、優勝するとその女性に褒められるのがたまらなく嬉しかった初馬は、一層、空手にに打ち込んだ。そして、高校2年生になると全国大会に出場するまでになっていた。
そして、初馬はその女性が見ている中で見事優勝する。
大喜びする、その女性と初馬だが、初馬は見てしまった。その女の男が凄く悪い人で、その女に詐欺をしてお金をまきあげ、そして、その女に暴力までふるっている事を・・・
そして、初馬は我慢出来なくなり、その男を死ぬほどの危害を加える。
すると、女は、その男をかばって初馬の事を『あなたの事を私は産まなければ良かった』と批難する。
それ以降その女は初馬からまた遠ざかって行った。
そして、初馬は一切の空手を精進する事を辞め学校にも行かなくなっていた。
そして・・・事件が起きた・・・
初馬が1人の女子中学生に性的暴行を行ったと言うのだ・・・
それを知ったあの女は初馬に、『もう私の所に顔を見せないであなたは、もう私の息子じゃないから。』と言い、これから二度と会う事が無かった。
そして、初馬の父も怒りをあらわにして初馬を責めたてた。だが、洸の母は違った。
『自分達にも責任があるのではないか』と自分達も初馬の事をかまってあげられなかったと言い始めた。
そして、『あなたも一人でで苦しかったのね』と初馬をただ一人抱きしめてくれた。
・・・・・
ソファーの上に横たわる初馬にブランケットを掛けるミチル。
「・・・・ん?」
「ごめん起きた?」
「あぁミチル姉ちゃん。」
「ご飯出来てるけど・・・食べる?」
「あっ・・う・うん・・お父さんは?」
「さぁ、まだ帰って来てないんじゃない?」
「・・そ・・っか。」
「まだ、たくさんあるから、いっぱい食べて良いわよ。」
「・・うん。分かった。」
「ご飯入れよっか?」
「うううん。いいよ・・・・・夢見てたんだ。」
「夢?どんな夢?怖い夢?良い夢?」
『良い夢かな?』
「ホントどんな夢?」
「・・・ナイショ・・」
「何よソレ(^-^;。」
「はははははははは・・・」
「ねぇ洸どうにかしてよ。」
「どうにかしてって言ってもなー。」
「初馬兄ちゃんスッゴイ舞い上がってたからな・・・やっぱイヤなんか?」
「イヤだよ!!なんで、私が初馬兄ちゃんと・・・」
「あんなに舞い上がってちゃ言えねーよな、だってスキップしてたモン。」
「スキップ?」
「そう俺の部屋からリビングに戻る時さ。」
「え~~そうなの。」
「あれは、相当だな。」
「そんな~~何とかしてよ洸!!」
「たった三ヶ月だろ我慢しろよ。」
「我慢って・・・」
洸でもどうにもならないのかー。私はいつも困りごとがあると、こうやって洸に相談する。
そう私に知能が与えられた、その瞬間から何かあると
洸!!
洸!!
洸!!ってそして、気づいたら、心がドキッとする自分に気づいていた。でも・・・
最初はどういう事か全く分からなかった。でも、それを受け入れるのに時間はあまりかからなかった。
周りの子が『カッコイイよね、あの子』とか『私は、あの子が好き』って言う恋バナ聞いていたら必ず、私の頭の中には洸がいた。でも幼稚な私だから、洸の中には私はいない。だって・・・
私が赤ちゃんだった頃洸が私のオムツを変えた事もあったって聞いた事もあるし。幼稚な私が邪魔して洸の脳裏には私は映しだされていない。
もし映し出されていたとしたら洸はヨウチイ・・
そんな洸私は見たくない・・・
だから私は洸を諦めなくちゃいけないのかも知れない。でも・・それでも・・諦めきれない自分がいる・・・だから心の中では笑えないのかも知れない。そして・・・・・あの時もずっと洸の事思い出して泣いてた。
そう・・・
私がケモノに汚された、その時、部屋に一人こもって、その行為を洸の事を必死に思い出して。忘れようと泣いてた。そしたら、もっと汚れていた。
スカートにしたたらした雫が全て黒い色に染まり自分と言う人間がスゴク不潔だと感じた。
洸に申し訳ない、洸を裏切ったんだって思った。でも、洸に助けられたとも感じられた。
その時、ひと時だけケダモノとの行為を忘れる事ができたから・・・・・そして、私は洸の顔から視線をそらした。
「何だよ?セリ下ばっか向いて。」
「んっ・・・」
「そんなにイヤなんか初馬兄ちゃんとデート?」
「・・・うん。」
「そっか・・・じゃあ俺からも言っとくわ。」
「ダメ!!!!」
「なんで!?」
「言ったら私が洸を通して言わせたって思われるじゃん!!」
「う~~ん。そうだけど、仕方ないべ、それは。」
「もうチョット我慢してみる。」
「・・そっか・・じゃあ無理すんなよ。」
「・・うん。」
・・・・・とは、言ったモノの、私は憂鬱で今ここに座っている。その前には初馬兄ちゃんが横の手すりをつかんでコッチを見ている。
・・「久しぶりに電車乗った。・・セリノちゃんは?」
「・・うんセリも久しぶりに乗った。」
「何か良いね。周りの人は僕たちの事どう思っているのかな?恋人って思われてるのかな?」
「・・・・う~~~ん。」(うざっ!!)
「もう少しで池袋に着くよ・・・・・・・降りよっか。」
下をうつむく私にさり気なく腰を下ろし手を握る初馬兄ちゃん
「行くよ!」
「・・うん。」
「絶対離さないから・・絶対・・・」
「えっ・・?」
「これから一日。家に帰るまで・・離さないから・・・いいね?」
「・・・・・う~~ん。」(っざ!!)
もういいや、この際何も考えない様に今を過ごしきろう。
それにしても初馬兄ちゃんの手はまるで、男臭くなかった。
まるで女性の様な柔らかな優しいタッチで女々しささえ感じられた。ホントに初馬兄ちゃんって昔、空手の大会で優勝した事あるのかな?はたから見ても全然、そういう要素が無い・・・でも
洸が言ってった。初馬兄ちゃんは、とにかく強いって。
「・・・着いた。」
ナンジャタウン?
えっ!?
マジ?
え~~マジか~~!!この年でナンジャタウンはハズイだろ!?
何考えてんのこの人?だって子供しかいないだろ・・・・って思ったけど結構カップルいるな~~何だこのカップルの頻度。良い具合に混ざってるわー、何か違和感ないな、
何?この感じマジ・ナンジャタウンなんだけど、ホント。
ホントにナニ!?
「僕ココ好きなんだよね。このレトロ感。」
ってお前喋ってくんなよ!!カス!!
お前は黙ってろよ!!
私は、私でこの感覚を一人で楽しんでるんだよ。
お前と一緒にいるけどお前をいないモノだと思って私は楽しんでんだよ!!
ココを!!
「最後はココ行こっか?」
「・・・う~~ん。」
「苦手・・?」
「・・うんチョット。」
「でも行って見よっか。」
「えーー。」
「大丈夫だよ、僕がついてるから。」
「でも・・・」
「この三ヶ月間は絶対セリノちゃん・・いや・・君を見捨てないから。」
ってお前自分でカッコいい事言ってるて思ってるかも知れないけど。ただのお化け屋敷だからね!!
ただのお化け屋敷!!
・・・・って思って入って見たら恥ずかしながらカスの体にずっと、くっついてたよ。
はぁ~~
結構な不覚
「面白かったね。」じゃねーーよ!!カス!!
お前はたんに自分が男らしい所を私に見せたかっただけだろ!!
この自己満人間が!!