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04 180のカレ

 高田馬場駅の近くにあるゲームセンターの中に女子高生の集団がいた。

そこで彼女らは手始めにプリント倶楽部という写真を撮り、それがシールになると言う撮影機で100円玉を3枚入れて5名で写真撮っていた。

今流行っているのは最新機々で自分の体を多方様々な角度から撮り、それを3D化しスマホに取り込む事で自分の姿を前からも後ろからも横からも等身大の自分をネット内のクラウドに保存して、その中で見られる機能も兼ね揃えていた。このサービスでは、その3D画像を使って実寸大の写真やその画像を色々な所にプリントして使える。

そして、特別な業者に頼めば15cm台から等身大もの自分のフィギュアを作る事が出来る。

勿論その画像を伸ばせばの話しだが無限に大きくする事が可能である。


「ねぇねぇ今日の私の写真の写り具合バッチリ!!」

「あんなたのはさーいつも加工してるじゃん顔のラインとか!!」

「へっへっバレたか。」

「セリノはどう?」

「う~~ん何かイマイチかな?」

「・・じゃあ加工すればいいじゃない。」

「うーーんそれは、ね・・何かね・・」

「何なに?」

「ちょっと・・」

「何?」

「何かね、今の自分を写していたいんだ。」

「今の自分?」

「そう。今の自分・・今しかいない自分・・写していたいんだ。」

「・・何か深いね・・アカネ何かしょっちゅう加工してるけどね。」

「何々?何か言った?メイ。」

「いやいや別に。」

「何々それ、絶対文句でしょ、絶対私に対して文句言ったでしょう!!」

「違うって・・」

「絶対そうだ!!もう!!」

「だから違うって。」

「それよりさー最近ネットで個人の3D写真盗まれてネットオークションでデータ売られてるってニュースでやってた。」

「やだ!!気持ち悪い自分のデータ盗まれて何か変な事されてたら嫌だよね!!」

「人形作られたり?」

「等身大の?」

「ちょっとソフトめな人形とか?」

「やだ~~気持ち悪い!!」

「割りかし人間に近い質感とか?」

「もうやめてー!!気持ち悪いから!!」

「セリノはさ~ネットにどの位、自分のデータあるの?」

「私の・・・10体くらいかな?」

「へぇ~~少なくない?」

「そうかな?アミは?」

「私・・・わたしは3000位あるかな?」

「えーそんなにー!!」

「普通だよ!!普通。アカネなんて1万越してるんじゃない?」

「・・何、また私の話し?また文句?」

「違うよ~!!」

「も~~う!!絶対そうだ、チョットひどくない!!」

「ミキ達バスケやってるよー!!」

「私達もやろうよ!!」と良い感じに友達と触れ合っていたら、それをあたかもぶち壊すヤツが現れた。

そう・・・・


カスである。


「ねぇーセリノちゃーん!!」ヤツはスグに私を見るなり小さく手を振り自分が出来る限りのいかにもイギリスかどっかの国の貴族の紳士がしてそうな仕草をして、軽く笑みを浮かべ私たちの方へと近づいてきた。


「セリノ誰?知ってる人?」

「い・・い~~や~ぁ。」

私は急に恥ずかしくなり多分、他の人が見ても分かる位の赤い顔をしていたと思う。実際は自分の顔をその場で見てないから分からないけど ね。多分絶対そうだ。

カスはコツコツと革靴の軽快な音と共にやってきて、バスケのボールを手に取り青白く透明な透き通っていた腕を伸ばし、ボールを発射して次々とボールをゴールに入れていた。

その手首のスナップが決まっていたフォームは、映像として画になる様な、とてもキレイな動きで体には一切の無駄な造作は、なかった。そして、投げたボールは全てカゴに入って、ハイスコアが機々に表示されていた。

それを見ていた友達は呆気にとられて動作は1コンマ、いや10コンマぐらいは、遅れて顔の表情の情報が一気に遮断されて、1コマ目分ぐらい飛んで、その空白の無の時間は何もなかったかのように忘れされ今、現在進行中に時は進んでいる。

「皆はセリノちゃんの友達かな?」

「えっ!?あっハイ!そうです。」

「そうなんだー皆セリノちゃんと仲良くしてね。」

「はい!!」

「セリノあのお兄さん・・どちら様・・」

「え――—と!?」

「もしかしてカレシとか!?」

「えっ!?そんなんじゃないよ!?違うよ!!」

「そうだよセリノちゃんの彼氏だよ!!」

カス!!

お前は黙っとけよ、うるせーーんだよお前はマジ空気を読めよ、私の空気を読めよ。

「えっマジでカレシさん何だ!!」

「えっ違うよ!!ちょっと訳があって・・・色々話すと長くなるんだ。」

「そう。今はセリノちゃんの彼氏かな今は・・ね。」

カス!!

だ・か・ら・お前は黙っとけよ!!

余計な事は言うなよ!!

「え~~マジで~~セリノってカレシいたんだ!!」

「だから違うって!!元々はイトコだから!!」

「えっ!?イトコ!?」

「いや・・そういう訳じゃなくて。」

「血は繋がってないけどね。」

だからお前は黙ってろよカス!!

お前が話すと余計ややっこしくなるだろ!!

「そう言う事だから。ちょうど今車乗ってきたから行こっかセリノちゃん。」

「えっえっえっ?チョット待って、初馬兄ちゃん!!」

「初馬兄ちゃん・・・?」

「あっ・・・初ちゃん。」

「そうそう、ソレソレ契約だからね。」

ウゼ~~

マジ、ウッゼ~~

何この人自分の事を初ちゃんって呼んでって普通う言うか?ハズいだろ。でもやるんだよな、この人カスだから、それに契約とかマジありえないんだけど。契約って言っても全部お前が勝手に決めただけだからな!!「そう言う事なんだ話し長くなるから、また後でね・・」


・・・・


「行っちゃった。」

「行っちゃね・・・でもあの人チョー、カッコ良かったね。」

「ねぇ~~スタイルも良くてスラーーっとして180くらいあるんじゃない?」

「芸能人のあの人に似てない・・・ユウマ君に・・」

「あっ!?似てる似てる言われて見ればそうだね。」

「本当カッコいいよね~~良いな~~セリノ・・・」


 そうだ。この3ヶ月間乗り切れば良いんだ。

と言うか無になれば良いんだ。

そうだ!!無だ!!

無の境地を切り開けば良いんだ!!

「実は僕ね。」って喋ってくんなよカス!!うるせーーんだよ!!お前は!!

「本当は免許取りたくなかったんだけどさマリエが免許取れ取れうるさいからさ、取ったんだ。男はやっぱり免許持ってないと示しがつかないでしょ・・って言われて。無理矢理取らされちゃった・・・30になってやっと取ったよ・・・でも結局別れたけどね。」

って言うか、お前ヒモだろ

どうせ、その女から金貢がせて免許取らせてもらったんでしょ

「でも、まぁ良いかこうやってセリノちゃん乗せてドライブ出来るんだから・・・・とっ着いた。」

「えっ?・・ここお店?」


・・・・・


「おお綺麗!キレイ!綺麗だよセリノちゃん!!」

「え”っでも高いよコレ!?」

「良いよ!良いよ!」

「でも・・・」

「持ってないでしょう・・ドレス。一着ぐらいは持っていた方が良いよ。」

「でも・・・」


でも何だかドレス着てるってだけでテンション上がってる自分がいた。


「えっ!?ちょっと、これで車に乗るの初馬兄・・あっ!?初ちゃん?」

「うん。」

「これで車走ったら他の人に見られたら恥ずかしいよ。」

「大丈夫だよ僕だって・・ホラ・・」

あっ!?

そうか、だから初馬兄ちゃん・・も。こんな格好してたんだ


「ホラ行くよ!お姫様どうぞ、お車にお乗り下さいませ。」そう言って初馬兄ちゃんは、私の手を取り車のドアを開けた。

車が進むにつれて段々と日が沈む空は暗くなっていった。それと同時に街には灯がともり何故だか日が昇っている時より明るく感じられた。やっぱり空を青くした神様も人間が作った人工的な独特な明るみには勝てないのかな?・・・・だって、明らかに、この街の灯は、異常だ。

多分すべての光を全部一点に集中させたらマグマよりも熱い電力が出来上がるに違いない

でも、今のこの世界はLEDが主流になってきているから、それほどでもないのかも知れない。そして、また偉大な発明家が新しい電力を開発して、全く0の電圧もかからないって言うモノも恐らく出来る時代がくるだろう。その時にまた人間は神様を越えようとするに違いない。そして、その結果がこの街に表れるのだろう。

このエレベーターの様に人間は、雲に向かいまた神様に近づこうとしていく。

そう考えてたら、私の一つの悩みなど何の意味も持たないと思う。

だけど、私にはそれが重要だ・・・

私には、それがすごく重たいんだ。そして、そこからは、抜けられないんだ。

「着いたよセリノちゃん。」

「うわ~~スゴ~~イ。」

「でしょ、凄いでしょ。」

そして、ボーイさんが私達を席に案内してくれた。

「僕も最初マリエから連れてこられた時にビックリしたからね。」

「キレイ・・」

「・・・食べよっか。」

「・・うん。」

「おいしいね。」

「・・・うん。」

「ドレス恥ずかしい?」

「・・うん・・チョット。」

「そっか・・・でも綺麗だよ。」

「・・・・・」

「車乗って来たからワイン飲めないから、チョット残念だな。」

「・・・・・」

「セリノちゃんは高校2年生だったよね。」

「うん。」

「学校楽しい?」

「うん。」

「確か、女子校だったよね。」

「うん。」

「友達たくさんいるんだね。」

「・・うん。」

「・・・・・」

「・・・・・」

「・・・ご飯おいしいね。」

「・・・・・」

「・・・・・」

「・・・男の子の事・・・苦手?」

「・・・うん。」

「でもさ皆が皆男の子の事悪いって訳じゃないよ。」

「・・・・・・」

「ホントに良い男の人だっているんだよ。」

「・・・・・・」


男男男男男男男男男男男・・・・


もう嫌だ・・


もう嫌だ・・


もう嫌だ・・


もう嫌だ・・・・はぁはぁはぁはぁはぁはぁ


「何で皆そう言う事言うの・・・何で・・?」

私は下をうつむき、まだ買ってまもない真新しいドレスを汚れしかない液体で汚してしまった。

そういう光景を見ても初馬兄ちゃんは、動揺する様子もなく私の横にきて真っ白なハンカチをさしのべ。その汚く浄化しきれない雫を全てふき取ってくれた。

多分カスは・・イヤ初馬兄ちゃんは最初からこういう話しをしたら、私がこういう状態になるって分かってたんだと思う。だから、こういう事覚悟して私と契約しているんだ。でも・・

そう言うのが一番めんどくさいんだよな。そう言う事を平気でスマートにしてしまうのがこのカスの正体なのである。

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