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03 三ヶ月の契約

 そして、また私は、この螺旋を登っている。

これが、私のたった一週間の終わりのサイン

「お邪魔しまーす!!」って言いたいんだけど、このカスが起きて来たら正直ウザイので床を何の音もたてずに、アメンボが池の上をスイスイと進むが如く床を滑った。

「おっ!?セリー来たのか。」

「うん。何やってんの洸は?」

「おぉ今、城攻めてんだよ。」

「何それ。」

「あっちに城見えるだろ。その城の武将を倒せばクリアー何だよ。」

「そう。」

洸がゲームに熱中している中、私はポクリと膝を曲げ棚に手を伸ばした。

『君がいたならば・・・』・・・パラパラとページをめくると、気がつくと泣いてた。


「どうしたセリー!?泣いての?」

「いや~~違うよ違うよ~!!」

「またまた。」

「いや、これチョット昨日寝不足してあくびしただけ。」

「ホントか~~?」

「うん。そうだよ!!だって泣く訳ないじゃん、こんなさ~病気で彼女死んだぐ・・らい・・でざ・・」

「セリー良いよ、良いよゴメンこれで涙拭けよ。」

「う”ん”」・・・戸が開く音がした。


「もう!何セリノちゃん泣かしてるの洸!?」

「泣かしてねーよ!!」

「大丈夫セリノちゃん?」

「う”ん”」

「こういう年頃になったら、言って良い事と悪い事もあるのよ!!」

「だ・か・ら・俺が泣かしてねーって!!」

「じゃあ誰が泣かしたのよ?」

「お前だよ!!」

「えっ!?私?何でよ今さっき来たバッカじゃん。」

「コレ!!」

「えっ!?」

「お前置いってたろ。」

「あ~~」

「ゴメンねセリノちゃん!!これ泣けるよね!!」

「う”ん”」

「えっ!?もしかして全巻読んだの!?」

「う”ん”」

「スゴイね11巻あるのよコレ!!って言うか、その前に洸がセリノちゃんの相手しないから!!」

「だってよ~この城の守り堅過ぎんだよ!!」

「今”な”んじ”-?」

「6時だよ。」

「え”~~もう、そんな時間なの!?」

そろそろだな。皆集まってくるのは、

私はハッキリ言ってこの時間帯が好きだ。

ドンドンと戸を開け閉めする音が続く・・「あら、セリー来てたの?」

「うん。」

「よー!セリー。」

「セリーお元気?」

「うん元気だよ。」

一カ所の中に数名の人達が集まるそして、その中では対処しきれない程の二酸化炭素が蔓延する。

その息苦しさを、この部屋にある小さな窓とたった一つの、この空間には似つかない。ぐったりと顔を下に伸ばしているチューリップの花。

(おい!!元気出せよ!!)って感じだ。

まぁまぁ、この室内の息を清浄化するには、自分のキャパシティーが足りないって分かってるから最初から。諦めてグッタリしてるんだろ。

仕方ない!仕方ない!

でも頑張ってね、お花さんどうにか私たちの場所の二酸化炭素を思う存分吸って下さい・ね。

皆お酒を酌み交わして、(勿論私はジュースだけどね。)

ミチルおばさんが、「あっ」洸のお母さんね私のお父さんのお姉さんになるのかな、がお得意の北海道からお取り寄せした、生チーズを使った、ピザが机に2枚並んでいる。

それを上手く切り分けて、私達の手前に2枚づつ配られた。そして、残ったチーズの割と少ない部分をリビングに持っていてカス共2人に与えていた。一枚ずつね

まぁカス共には、それで十分だろう。

「ありがとうミチルねーちゃん。」

細々しい声でカスは、喋っていた。自分のさーお母さん何だから、義理の母でも、「ねーちゃん」って言わないでお母さんって言ったらー

お世辞でも良いからさーちんたら、ちんたら幼い頃の事ひきづってさー、

もう30過ぎのオッサンがさー義理の母の事を『ねーちゃん』ってさー、あんたさーホントに小っちゃいよね

ニワトリにの脳より小ちゃいんじゃない?まさか。

あのさー前に私がさ、学校のニワトリに最初エサあげてなづいたんだよ。そして、半年ぐらい、そうしてる内に、そのニワトリ私を見るたんびに私の所に来てさーエサ食べにくるの。

だから、私試しに手にエサじゃなくてさー石のせたらさー食ってやんの、そいつ。

バカかコイツーって思ったよ。そしたら、翌日そのニワトリ、その事忘れてまた、私の所にエサ貰いに来てたからね。マジかーコイツって思ったよそして、また石あげたよ。そしたら、また喉カッカ、カッカやってたわ。

ははははは、

学習しろよホントにって思ったよ。そいつ、ぐらいの脳だよ、このカスも

何の学習能力もないんだよ、きっと

だから、ずっとひきづってるんでしょう。幼い頃の事。そして、それから、ずっと抜けれないって言う

小さいよ心が・・気持ちが・・っと思ったらトイレ行きたくなってきた。でも、

リビング通るの辛いな~~だってあのカスの顔見ないといけないんでしょう。苦痛だよ!!ホント。

でも、このまま、ずっとトイレ我慢すると言うのもなー我慢するのも良いんだけど、このまま我慢して過ごすって言うのも、この場の空間の楽しさに支障をきたすしなー。まぁ、しょうがないか。

カスに喋られても「うん、うん」うなづいて、その場をごまかすかと思ったらカスの父が喋ってきたよ!

「セリノちゃん居たの?」

「うん。」

私が毎週一度この時間帯にいるのぐらい分かるだろ!いちいち喋りかけてくんなよ!!

このカスの父も、カスの遺伝子ついてるから、同等なんだよ!!

トイレし終わってリビングを通ると、カスがソファーの上でバラエティー番組を真顔で見ていた。って真顔で観る番組じゃないだろ!笑えよ、もっと、そこ笑う所だろ!と

その横見たらカスの父も相当な真顔だった。

親子そろって、それかい!もっとリアクションしろよ!!

なんて空間だよ、ココ?

あの空間とココの空間違い過ぎるだろ!!

だから干されるだよ、オメーらは、もっとプライドみたいなモノを捨てろよ!!そしたら、こっちの空間に来れるよ。きっと、

でも、とうてい来て欲しくないからプライド捨てないでね。

そして、当たり前の様にその空間に戻ると洸と、その女がイチャイチャしてた。正直、私はそれを見たくない・・辛い・・カスの顔見るより辛い・・

何故だろう。こんな気持ち・・

「セリノちゃん!!また洸がね、私の事イジワルするのよ!!」

「なんだよ~~!!してね~~だろ!!」

「だってさーこのユルフワパーマの事をユルユルパーマって言うのよ!!ねぇヒドイでしょう!!」


別にどうでも良いよ。


「だってさーお前のはさーユルユルしかしてね~~モン。」

「あるじゃん!!ホラ!ホラ!」

「フワフワは、どこいったんだよ!?」

「ホラ!!これ!!これ!!」

「これは違うだろーそれはユルユルだろ。」

「なんで?フワフワじゃん!!」

「これか。いや、違うだろそれはフワフワのフワッとした感じは全くないし・・って言うかお前のはダラダラだよ!!」

「なによ!?ダラダラって!?」

「ダラダラパーマだよ!!お前のは。」


コイツラ相当だな・・・でも私と洸が二人でいる時っていっつも、こんな感じなのかな?

周りに見えてる感じと自分で見えてる感じって違うから分からない

でも、その女と洸を見ていると多分、他人の人には自分もそういう風に見えてるのかな?

だからその女と洸がイチャイチャしているのを見ると余計辛く見えてきてしまう。


だって私の絶対叶わない夢だから・・・


「セリノちゃんゴメンね私が洸の部屋に置き忘れたマンガで泣かせちゃって。」

「う・・うううん。」

「ごめん悲しかった?」

「うううん全然。感動しちゃった。」

「そう最後メッチャ泣けるよね。」

「うん。」

「洸は?」

「イヤ、俺は別に。」

「何よソレ~~ねぇ、やっぱり女の子同士でしか分からない事ってあるのよね。」

「ははははは・・そうかもな。」

「何笑ってるのよ~~もう。」

「洸仕事は順調かい?」

「うん。何とかね。」

「お婆ちゃんは腰もう大丈夫なの?」

「う~~ん。」

「動かしてたらもう治ってたよ。」

「そうなの?ホントに大丈夫?」

「ホレこの通り。」

「おぉぉぉぉおお婆ちゃん危ないから!!危ないから!!」

「ほれほれ。」

「だから危ないって!!」

「それより仕事続きそうかい?」

「まぁね今の仕事は人付き合いもあまりないからね。楽と言っちゃあ楽よ、その分、体力使うけどね。でも見てホラ俺のコレ。」

「おぉぉお。」

「でしょ!!でしょ!!だから大丈夫。」

もうこの筋肉ギャグは、正直飽きた。これで何回目なの一体

「それよりセリノちゃんセリノちゃんは好きな子いないの?」


・・・一瞬この場が凍りついた気がした。

私はその言葉は、結構昔に聞いた事がある。でも

私にはそのフレーズ一つ一つが冷凍庫で凍らせてギザギザに氷を鋭くさせ手で触れただけで人を傷つけるくらいのモノだった。だから私にはツライ、それを知ってか周りの皆はあえて私には、その言葉を投げかけてくる事はなかったが、その女はいとも簡単に、その鋭くトガッタ透明の刃を私目がけて投げつけてきたのだ。


「おおおおおおそれより、飲もうぜ!!」

洸が私の代わりにその刃を素手で受け止めたので、難無く私は助かった。でも

次々と、その女は凍ったまんまの塊を勢いよく投げつけてくる。

「ねぇ気になってる人は、いるでしょ?」

私はたまらなくなり身震いし、鼓動がドンドン大きくなってくる事に気づいた。


もうやめて!!


もうやめて!!


「もうやめて!!」


皆のボー然とした表情がクッキリと見えた。そして、その顏が次々とぼやけていく。そして、段々と視界が見えなくなる程に溢れた雫が私のワンピににじんでいくのが見えて消えていった。


「セリはこういう話し苦手なんだよ。」

「そうなの!?ごめんねセリノちゃん!!私分からなかったの。だからゴメン。」

ってチャンッチャンッって終わったと思ったらコイツがウザかったの、それも、かなりのウザさだったの

突然、洸の部屋のドアが開いて

「セリノちゃんと僕付き合う!!」

はぃ~~?

何言ってんのこの人?

皆さ~~ん、この人何を言ってるんですか~~?

「変な意味じゃないよ変な・・たださ・・」

たださーじゃねーよカス!!おい!!お前なんなの?一体?

「いや、変な意味じゃないくてさセリノちゃんの『男の子嫌い』僕が治してあげたいなと思って・・・だから変な意味じゃなくてさ。」

皆キョットーントだよ!!

皆キョットーン!!

何なのこの空気?空気入れかえした方が良くね?

「そんな目で見ないでよ皆・・・変な意味じゃないんだから、それに血は元々繋がってないんだから・・・さ。」

そういう事じゃねーよ!!そういう事を皆思ってるんじゃねーよ!!あんたのモラルを私は疑うよ!!

「はははははははは・・・・」

イヤイヤイヤ・・何で笑った?何で笑ったの皆?ごまかしたか皆、この一連の爆弾発言を皆ごまかしたのか。イヤイヤイヤ私は勘弁だよ、イヤイヤってマジか~~!!

このカスと三ヶ月間のあいだ付き合うという証文を押されてしまったよ。

それも、皆の笑いでパスったよ。参ったなーコリャー参ったなー、どーすっかなー。

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