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02 お父さんは結構なパソコン君

 学校の帰り道いつもの様に亀森薬局の横の高層マンションの駐車場の横にある車の中で

『週刊ヤングポンプ』の雑誌を顔に被せて眠っている男の姿があった。


「お父さん」・・ガラスをとんとん、いつもの調子でやると、ゾウ亀が砂場で卵を産んで、と言うか。ゾウ亀が砂場で卵産むのかは、分からないけど卵産んで力み過ぎて結局、疲れるわ~~ぐらいの顔してオッサン、いや、父が起きてきた・・・


・・・・


 このゆったりした感覚が私には、気難しかった。

スルスルとジャンクションを抜けていく、この感じ、

ビルと広告が瞬時に私の視界から消えて、また表れる感じ

多分この情報処理能力が昔のパソコンだったらあまりにも膨大で、スグにフリーズしてしまうだろう。

でも・・

人間の脳と言うのは忘れるって言う便利な機能が備わっているので、どんどん動画が更新されてもホッとくっていう能力が身についている為、その動画を観ている様で見ていない、事ができるのだ、

だけどパソコン君は、結構マに受けるタイプで東京ドーム7コ分ほどの画像が3つ位ぽんと来たら真面目な性格の為1から10までの事を完璧にこなそうって思うらしく、訳分からなくなって、自己修復機能を使っているだろう。この自己修復機能がパソコン君の中で唯一の心のより所で、いつもお世話になっている、お隣の気の利くイケメンITオタクのお兄さんである。

この人がいつも私たちの脱線した車輪をレールに戻してくれるのでパソコン君は一生懸命、隅から隅までどんな情報も見逃さず安心して仕事に就く事ができるのだ。けど、

私達人間はそう言った、些細な事は見て見ぬフリも、ぶっちゃけ出来るので、SUICAの使い方が分からなくて改札のバーで立ち往生している、現在のトレンドが分からない老婆があたふたしている姿を結構な真顔で素通りするって言う文化が流行り過ぎている現代っ子では、こんな日常お茶の子さいさいである。

でも、その文化を阻止しようとしている心の強いヒーローが必ず現れてSUICAの入金方法を正しく丁寧に1から10まで教える人達のいるのだ。

そう・・真っ直ぐで真面目なパソコン君の様に、

でも、私にはそういう、めんどくさい事が出来ないから、スグに見て見ぬフリをするのだろう。

「ホラ、行くぞセリノ。」

「あっ!?」ホラ今この様に全く動画処理をしない事も出来るのだ。


「お母さん元気~~!!」

私はさっきの感覚がウソかの様に元気な声でニッコリと作った笑顔で話した。

「セリノ・・・」

無表情な顔を覗かせ不自然な上ヅラで女は話した、私は、この人と接する事が案外苦手だ。だって・・

この人と接する時って自分を1から10まで作り上げないといけないからだ。

でも、私はこの人の事を愛している。それは、この人が私の事を愛してくれているからだ。

だから、私も愛したいし私も愛されたい。

だから、私はこの人の前では、数々のウソをつくのであろう。

「お母さん!!昨日ね~~お母さんが家に帰ってくる夢見たんだよ。」

「・・・・・」

「そしてね、私の好きなパエリア作ってくれて皆で食べるの、洸達も呼んで、それが!!それがねチョ~~おいしいの!!」

「・・・そう・・・」

「うん、あのお母さんの作るそのまんまの味がしたんだよ!!ねぇ~スゴイでしょう!!スゴクない?」


・・・これもウソだ・・


「だからね。お母さん絶対、病気治って家に帰れるよ!!」


・・・これもウソ・・・


「セリの夢ってね~結構まさ夢の時あるんだよ!!」


・・・これもウソ・・・


「前ねスクラッチ当たった夢見て、その日にスクラッチ買ったら当たったんだよ10万。」


・・・これもウソ・・・


「それをね~~ぇそれをセリ寄付したんだよ。ユニセフに!8万も!8万だよ!!そして、残ったお金でワンピ買ったんだ!!これ、写真あるよ。いいでしょう。コレかわいいでしょう。絶対ね~~良い事したからね。神様がセリのお願いを叶えてくれると思うんだ・・だから、お母さんも絶対治るよ。」


・・・これもウソだ・・・


だって私見てたもん、お父さんと医者が喋ってる所

聞こえなかったけど、お父さん泣いてた。

思いっきり泣いてた。

その後にお父さんは、目の下ら辺が赤く腫れ上がっていて、私の顔を見るなりパソコン君になっていた。

だから、私は言ったの。私の臓器みんなあの人にあげるって大きな声で泣き叫んで言った。

そしたら、お父さんがシビアな顔してお金無いって言っていた。

「そんな問題じゃないでしょう!!命にお金とかそういう問題じゃないよ!!」

「だってな、セリノ考えて見ろ、一般の社会の俺達が、どうのこうのできるレベルじゃない。」

「だったら募金しよ!!」

「・・・・・」

「ねぇ!!募金しようよ!!」

「そんなの恥ずかしくてできる訳ないだろう!!一生永遠に俺達はこの社会に助けられたという重いカシが出来るだろう!!」

「だって!!だって!!死ぬよりマシじゃん!!お母さん死ぬよりマシじゃん!!」

「そんなな~~第一集まりっこない募金なんて。」

「だってテレビでやってるじゃん!!いっぱいやってるじゃん!!」

「あれはな、運が良いヤツ何だよ!!そして、ハッキリ言えばな話のネタになりそうな奴等をメディアが良い様に使っているんだよ!!現実を見ろ現実を!!」

「でもさ、何にもやらないよりは、マシじゃん募金集まらなくてもやろうよ!!ねぇ。」

「恥ずかしいだろー、恥ずかしいだろ、そんな事!!」

父は募金活動の事を断固否定していた。

けど・・

明らかに分かっているのは、父の目からは尋常ではない程の涙が流れていた。その涙の分だけ、父は私に大きなウソをついているのがスグに分かった。


・・・「お母さん又くるからね~~!!」

「セリノ・・」

また始まった。「行かないで・・」

「お母さん又くるから・・ね。」

「いや!!セリノ行かないでよ!!」私の手をギュッと握って離さない。


ウザイ・・・消えて・・・

あなたは、もうじき私の前からいなくなるのだから。

正直あなたにかまっているヒマはない。

100%の笑顔でしか生きれない空間に、私はもういたくない、もう限界・・だからお願い消えて・・・

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