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Last 洸からのメール

 もう今日で初馬兄ちゃんとのカップルの契約が期れる。

この前までは、ウザかったけど・・・・・・・・・・・・・・今は、名残惜しくなってきた。

それは、二週間前に、『それでも・・・それでも、僕は君を守るよ。』って真剣に言われた時からだ、

あんなに面と向かって恥ずかしい言葉すらりと言われたのは、生まれて初めてだから、今思い返しても、顔が真っ赤になる自分がいた。でも・・・

なんで、初馬兄ちゃんは私に対してこんなにも尽くしてくれるんだろう?

もしかして、私の事が最初から好きだったとか・・・・・・・・・・・・・って

浮かれてたら、時間がスグに過ぎていった。

でも・・・・・・・・・・・・初馬兄ちゃんの姿がいっこうに見えない。

何故だろう?

事故にでも巻き込まれたのかな?

そんな不安だけが私の頭の中でよぎっていった。

もう、初馬・初馬・初馬・初馬って感じだ。フと思い浮かぶのは、初馬兄ちゃんの事がまず第一に頭の中にいる。

私の中の初馬兄ちゃんのランクはカス・一般人・友達・気になる人・片思いって一気にレベルが4段階にUPした。それより、早く初馬兄ちゃんにメールしなきゃ!!


・・・・『もう、辞めよう』・・・・返ってきたメールの返事はたったそれだけだった。

でも、私は、その返事の意味が分からなかった。

初めてだった。初馬兄ちゃんからの返事でサベタ感じの言葉が綴られたメールなんて・・・

何があったのかな?

それも契約は今日で終わりなのに・・・たったこの一日だけなのに、

たった一日のたった今日の事だけなのに、

こんなメール・・・ホント意味分かんない。

こんなんで、終わりたくないよ。たった一日の今日をこんなメールの一文だけで終わらせたくないよ!!


 やっぱり、最後に行き着くのは、ココになるんだね。

「ココにいたんだ。」

「あっ!?セリノちゃん。」

「三ヶ月って約束したじゃん。三ヶ月って言ってたじゃん。」

「ごめん・・・」

「今から行こう!!ね!!」

「・・・ごめん。」

「なんで・・・?」

「ごめん。」

「何で謝るの?」

「・・・もういいんだ。」

「何が・・・?」

「・・・僕セリノちゃんの事利用してただけなんだ。」

「えっ!?」

「セリノちゃんと仲良くなれば洸の部屋にすんなり溶け込む事が出来るから、ミチル姉ちゃんと、もっと溶け込んでミチル姉ちゃんに直接お父さんと仲良くしてあげてって言えると思ったから、あの時、セリノちゃんと三ヶ月間付き合うって言ったんだ。」

そうなんだ・・・

・・・だから、あの時私と付き合うって言ったんだ。

私の男嫌いを治してくれるって言うより、ただ・・・・・・あの空間に入りたかっただけなんだ。やっぱり、この男は人の為と言うより自分の為にしか動かない人間なんだ。信じてたのに・・・・

本気で私の事思ってやってるって思ってたのに結局はそう言う事なんだ。

利用できる女は利用するって言うヒモ男だったんだ・・・やっぱり、カスだなコイツ一気にランクが5段階落ちてカスと言うより、カス以下になっちまったわーでも・・・・・・・・・・・・・

私は、信じたかった初馬兄ちゃんの事を・・・

「やっぱり、洸がいなきゃダメなんだ。」

「・・・何で?」

「洸じゃなきゃだめなんだ。お父さんもミチル姉ちゃんも、僕じゃなくて洸を必要としているんだ。」

「そんな事ないよ初っちゃんも必要だよ!!」

「必要じゃない!!」

「そんな事ないって・・・」

「初めっから分かっていたんだ、僕はお父さんとしか繋がっていない・・ミチル姉ちゃんとは繋がっていないんだ・・・・でも、洸は二人と繋がっている・・・だから、2人が必要としているのは、洸なんだ。」

「・・・・・・・・・」

「僕は洸にはなれない・・・僕は洸にはなれないよ!!」

「洸にならなくたって・・良いじゃん!!。初っちゃんは、初っちゃんだよ!!」

「でも、二人には洸が必要なんだよ。だから、洸がいなくなってから2人の仲が余計悪化したんだ・・・もし洸がいたら、その時二人の間に入って2人をなだめられるかも知れないけど、僕がそうやっても余計、2人の仲が悪化するんだ・・・」

「洸にはなれないかもしれないけどさ、初っちゃんは二人の家族じゃん。だから、洸とか関係ないよ!!・・・それより、行こう!!」

「どこに・・・・?」

「いいから。」

「でも・・・・」

「三ヶ月間はセリと付き合うって決めたでしょう。初っちゃんが決めたんだよ、だから、早く行こう!!」

そう言って私は、まだケイタイの契約が期れていない、洸の携帯を洸が寝ているベットの側に置かれている台の上から取り初馬兄ちゃんの右手をギュッと引っ張って病院を出た。



 武蔵境駅の南口から降りて、手前にイトーヨーカドーが見える、

その2回の建設のガラス張りの正面の入り口が見える、場所にセリノと初馬の姿があった。

セリノはこきざみにガラスから外を見回している


「もうそろそろ来るよ。」

「そうかな・・・?」

「きっと来るよ・・・ホラ!!きた!!」

「でも、まだ一人・・・・・」

「・・あっ!?ミチルおばさんも来たよ!!」

「・・・・・・・・」

「登ってくるよ・・・」

「・・・・でも。」

「行かなきゃ始まんないよ!!」

「・・・・分かった。セリノちゃんがそうまで言うなら行くしかないよね・・・」

おじさんとおばさんが別々のルートから登ってくるのを確認して私は、先回りして、一歩先にエスカレーターに乗った。

どうやら、初馬兄ちゃんのお父さんは、エレベーターから上に登るらしい。実に効率的である。

一方のミチルおばさんは、エスカレーターに一人立ち、そこから動かずにゆっくりと周りを見渡し、ながら登ってくる。私はと言うと、そのエスカレーターの横の隙間から、ミチルおばさんを覗いて見ていた。

私は初馬兄ちゃんがいた所を見た・・・アレ・・・!?

いない!!

初馬兄ちゃんはいない!?

どこ行ったんだろ!?まさか・・・・・・すると、エレベーターのドアが開いて初馬兄ちゃんのお父さんが姿を現した。

そして、さそくさと数ある中の12番のマークがついた、テーブルのイスに座った。そして、数秒が経ち、ミチルおばさんも12番のマークがついたテーブルのあるイスに座った。

横にはおじさんがいる。

初馬兄ちゃんがやっぱりいない・・・・

そして、おじさんとおばさんの顔を見た。

まだ表情がぐちゃぐちゃしてる。どうやら、本当にこの二人はそうとう仲が悪化しているらしい・・・・

初馬兄ちゃんは・・・やっぱ、そう言う男か。最後の最後には逃げるんだ・・・・

すると・・・私の後ろから、コツコツと鳴り響く靴の音がした・・・・

見て見ると人の顔程のサイズの大きな写真を顔の前に持って歩いて来る人がいた。

そして、初馬兄ちゃんのお父さんとミチルおばさんがそれを見るなり大きな声で笑っていた。

私は一瞬何が起こったのか分からなかった・・えっ!?・・

・・・一体あの写真に何が写ってるんだ?

私は、その人の顔の前の写真を見ようとしたが、手前の人が邪魔で見えない・・・・・

・・・でも、おじさんとおばさんは、ずっと笑っている。

ホントあの写真に写っているモノって何?・・と思い回り込んで、その写真を見た。

すると・・・・

その写真には、くったくのない笑顔のした洸の幼い頃の写真がまがまがと見えた。それを見た瞬間、私も大笑いして、2人にバレそうになった。

そっか!!初馬兄ちゃん、この店の一階にあったプリンターで洸の小さい頃の写真プリントしてたんだ。

そこからは、私は、もう見なかった。もう見る必要もなくなった。私は、一人エスカレーターの上に乗って一時間前に送った。メールを見返した。

《from洸》

 用件:無し

 本文:

『今日さー二人の記念日じゃん、だからさ、俺がおごってやるよ!!

俺のなけなしのこずかいでさ、でもさー

ゴメンm(__)m今日は俺そこに行けっこないから、代わりに初馬兄ちゃんが

行くって。

だからさー、ヨロシク頼むわ~~

じゃー俺、仕事だから行くわ。じゃあまた('ω')ノ』


いっつも、私がおじさんとおばさんの記念日になるとさー洸に頼まれてメール打たされてたんだよねー、

何か自分でこう言うメール。打つのハズイって言って、いっつも私呼ばれて、打たされたの、こういうメール。その変わり「お前も一緒にくるか?」って言われて・・・

何故か私もおじさんとおばさんの記念日の日にヨーカドーのレストランの一番高いステーキおごらせてたっけ。でも、最近は、やってなかったんだよね。

洸が高校に上がった頃位からかな。私が小学5年生くらいの頃だったから。

洸は、ね・・いつも、照れ隠れするのに、こういう事するの、それがあの頃、幼い私が見てもかわいかったな~~



 何でそんなに悲しい顔してるの?

絶対変わるハズない洸の顔をそんな風に見えたのは、私だけかも知れない・・・

そして、洸の腕に触れると前の筋肉が張った表面とは、違って大きなマシュマロにもうチョット弾力を加えた様な柔らかさだった。

どんどん洸が洸じゃなくなっていく。

洸が故意に形作っていた。洸は、多分・・・もういない・・・

存在自体がもう消えかかってきているのかも知れない・・・でも、

それを忘れようとしている、私は今、こうやって生きてる洸の灯さえも無視している。ホントにそれを受け入れないとこの先もっとコノ洸に期待をして、洸に重いプレッシャーを与えて洸を窮屈にしてしまうだろう。でも・・・

私は、信じていたいしあの頃の洸に会いたい・・・

でも、今の洸は、この私の想いがスゴク重いんだよね・・・

・・・だからね・・・

・・・洸・・・

・・・洸が戻ってきたら私、洸に会いに来るから・・・絶対!!絶対会いにくるから・・・ね

そして、今まで洸の事をギュッと力強く握ってた手を離し病室を勢いよく出ると。何か大きな物体に当たった・・・・・

「おっ!?セリノちゃん・・洸の所にいたんだ・・」

「・・・もう会わないから・・・」

「えっ?」

「もう洸に会わないから・・・」そう私が言うと初馬兄ちゃんは、チョットためらった顔をした。がスグに微笑みを浮かべうなずいた。

「・・・そうなんだ・・・」

「・・コレ・・・」

「えっ!?コレ・・洸にあげるんじゃないの?」

「いいの・・・お付き合いが終わった記念日・・・」

「あっ・・ありがとう!!」

「つけてあげる・・・右手出して・・」

「おっ・・カワイイ・・・ホントにイイの?洸には・・・」

「・・・洸には・・・・・・・洸には・・洸には・・洸が戻ってきたらあげる!!」

そう言って私は、スキップしながら、病院を後にした

もう少ししたら・・・・・・・・・

・・・・もう少ししたら・・・

・・・洸も起きてくるよね・・・

・・・きっと・・・・・・

その時まで洸・・

またね!!

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