表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
73/82

第72話 ★だからおっちゃんは、友達がいないんだ。


 怨念とは、ざっくりとまとめると人の恨みなどである。


 陰口や嫉妬。そういったものを本人に直接向けられ、実際に生身の人間にも影響を及ぼすことがある



「ティモちゃん詳しいねー。」

「えへへ、にいちゃんとれいこさんに教えてもらったんだぁ」

「………」



 うん、ティモちゃんの説明が簡単すぎて意味が分からなかったよー。

 澄海くんも無言でおっちゃんの後をつけている


 おっちゃんの全体から黒いヘビのような怨念が触手を伸ばしている


 ティモちゃんの勘では、その触手の方向に、おっちゃんへの怨念を向けている人物が居るだろう、ということ。

 私もそう思う。


 澄海くんには見えていないだろうから私達が触手はどの方向を指しているかを澄海くんに逐一報告をしていた


 一応澄海くんには情報の管理を任せている

 頭の回転も速いし記憶力もいいからね。




「あ、おっちゃんは浮き輪を借りに来たんだねー。」

「タマちゃん、うきわってなに?」

「んー、ほら、あそこの女の子が手に持ってる輪っかあるでしょー? あれのことだよー」

「もってて意味あるの?」

「んーっとねー。溺れなくなるんだよー。」

「わわっ! それはすごいね! だったらあのうきわがあったらどこにでももぐれるね!」

「あー、言い方を間違えたよー。溺れないけど、潜れないんだよー。」

「………アホか。」


 ティモちゃんがアホの子を炸裂させてるけど、いちいち丁寧に答えてあげる私は大変だ。

 変な知識はつけられないし、せめて中学生までは純粋無垢でいてほしい。


 おっと、今はそんなことは関係ないねー。おっちゃんを尾行しないといけないし。



 おっちゃんは、今羽織っているパーカーから財布を取り出して、浮き輪を借りた。

 300円とは地味に高い。

 子供料金で阿久根大島に行くのと同じ値段だ。

 これなら浮き輪を買った方が安上がりかもしれない


 ちなみに、こういうプールで買うジュースも、普通の自販機より少し高い値段設定だ。

 あ、そういえば阿久根大島に行った時に思ったんだけど、あそこの自販機って500mlのペットボトルが200円もするんだよ!


 ポカリが200円で売ってあって思わず『ここのジュースマジアルプス!』って言ったらおっちゃんが『まぁ、確かにちょっと値段が高いな。』と返してくれた。

 なんであんな意味不明なことを言ったのにちゃんと意をくんでくれたのか。

 意味不明だ。


 私とおっちゃんの思考回路は少し似ているようだ。



「………おい、タマ。」

「んー? なーにー?」



 思考がわきに逸れていた。危ない危ない。監視をしないとっ!

 気合を入れなおしていたら、澄海くんが私に耳打ちした



「(………おっちゃんの前から、柄の悪い人たちが歩いてくる。)」

「ほーう?」


 ちなみに、そこに言っても私の耳は無いよー。私の耳はもう少し上だよー。

 人間耳はないんだよー。

 まぁ、澄海くんは左側に立ってたから左耳が拾ってくれたけど。



 おっちゃんはクロちゃんの所に戻ろうと浮き輪を抱えて速足で歩きだす。


 だけど、その正面から柄の悪い青年たちが3人。ニヤニヤしながら歩いてきた。

 中央の銅髪の青年から、おっちゃんに向けて怨念が発せられていた


「タマちゃん、あの人だよ。」

「んー。そうみたいだねー。」


 その会話だけで、澄海くんもすべてを納得したようだねー。

 ただ、なんでおっちゃんに向けて怨念を発しているのかはわからないなー。

 おっちゃんはあまり人には嫌われなそうな性格をしているけど………


「ティモちゃん」

「なーに? タマちゃん。」

「ちょーっとお願いがあるんだけどー。」

「? どうしたの?」

「ここは私達がなんとかするから、ティモちゃんはそっちの深いプールで水に浸かる練習をしておいてもらえるかなー。」

「なんで?」

「お願い。これは命令だよ。」

「むー、わかった。」


 ティモちゃんをここから退場させる。チョロい。

 ここから先の映像はティモちゃんに見せたらいけない。

 あの子はおっちゃんをすごく神聖視している。

 だから一応、ティモちゃんを遠ざけておいた。


 おっちゃんは向かって来る人たちの存在には気づいていないだねー。

 んー? 3人組がおっちゃんの姿を視認したっぽい。銅髪の青年から発せられる怨念が強くなったよー。


 その瞬間、おっちゃんはキョロキョロとあたりを見回す。三人組の存在には気づいていないみたい。

 怨念の気配を怨霊の気配か何かと勘違いしたみたいだ


 あー、おっちゃんの昔話とかは聞かないけど、小学中学時代の知り合いなのかなー。

 銅髪の人はおっちゃんに気付くと一瞬だけ驚いた表情をしたけど、その後、怒気を孕んだ視線をおっちゃんに向けた。




「この浮き輪でクロちゃんも泳げるように―――ゲッ!」



 おっちゃんも三人組を認識した瞬間、変な声を出した。

 やはり知り合いか。おっちゃんに友達は少ない。

 だから友達ではないだろうなー。おっちゃんの反応がそれを物語っているし。


 お互いがお互いを認識した瞬間、坊主が動いた。




「俺たち、今を駆けるキラメキ団!(ビシッ!)」



「…………」←修

「「…………」」←銅髪と金髪ピアス

((…………))←私と澄海くん



「修、奇遇だな。それにしても、『ゲッ』とはなんだ。ずいぶんなご挨拶じゃねーか」



 え? なに今の。



「ホントに修だ。変わってねーなぁ。なんでこんなとこにいんの?」


「おいおい、キラメキもリューヤも乗ってくれよ。今のタイミングだっただろー?

 というかなにこいつ? なになにキラメキとリューヤの知り合いか?」



 三人組がおっちゃんを取り囲んだ。逃げられない。そして場所も悪い。

 ジリジリと距離を詰めることでおっちゃんの向かう方向を自分たちで操作して、人気のない所へと押し込まれた。

 さっきのは無視しよう。そうした方がよさそうだ。


「なーキラメキ。なんなのこいつ。知り合い? なー知り合い?」

「ああ。ダイチは小学生のころ別のクラスだったからあんまり覚えてないだろうが、こいつが『オヤナシ』だ。」


 鈍い銀色をした髪を坊主頭にした頭の悪そうな青年が聞くと、キラメキって呼ばれた銅髪の人はおっちゃんの事を『オヤナシ』と呼んだ


 オヤナシ? 親無し? んー。よくわからないや



 よくわからなかったけど、なぜかおっちゃんはその単語を聞いた瞬間、歯を食いしばった


 それに、キラメキ? どっかで似たような名前を聞いたような。

 ………匂いも誰かと似てる気がする。はて、誰だったかなー。


「オヤナシ? あー! 思い出した!

 へー、お前がねー。懐かしいなー。生きてたんだ。

 たしかあれだろ? 親が居なくてホラ吹きで、結局クラスみんなからいじめられたっていう。へー、よく今まで普通に生活できるなー。」


 すると、坊主は感心したようにジロジロとおっちゃんを見る。

 明らかに不良とわかる3人組に囲まれてジロジロと睨まれるおっちゃんは、かなり萎縮していて、足が震えていた

 わー、大丈夫かなー、おっちゃん。

 というか、おっちゃんの過去なんて初めて知ったよー


「ギャハハハ! 見ろよキラメキ、リューヤ! こいつ、足震えてやがるぜ!」


 坊主頭がおっちゃんの足を指差して爆笑する。


 横から見ると、坊主頭の側頭部は『#』の形に剃りこみが入っていた

 いかにもなヤンキーだ。



「な、なんの用なん?」



 おっちゃんは声を少し震わせながら、いつもの鹿児島なまりの関西弁で三人に聞く



「用? んなもんねーよ。そうだな、強いて言うなら………俺さ、オタクって嫌いなんだよね」


 坊主頭にリューヤと呼ばれた金髪でピアスだらけの男がそう言って距離を詰める

 おっちゃんは一歩下がって壁を背につけてしまった


「それに、そのしゃべり方も気にくわねぇ。いっぺん死んでみたら? ダハハハ!」


 おっちゃんの前髪を掴んで顔を近づけるピアス。

 人の脅し方っていうのを熟知しているようだ


「それにしてもキラメキ、噂をすれば、だな。ナンパに来た予定が、とんでもないものが釣れたみたいじゃねぇか」

「そうだな。なー修。」


「な、なんだよ」


「見たぜーあの番組。オマエ、まだあんなホラ吹き続けてんのか? バカもここに極まりだな。いやはや見直したよ」


 バシバシとおっちゃんの肩をたたく銅髪の人。

 おっちゃんは不快そうに眉根を寄せる


「覚えてるぜー、小学生のころは『僕幽霊がみえるんだよ!』とかいって騒いでいたオマエ。まだそんなことやってて恥ずかしくないの?

 俺だったら恥ずかしすぎて自殺してるわ。オマエすげーよ!

 そのホラを吹いたまま霊媒師の一番弟子(笑)だもんなぁ!

 成り上がり人生あっぱれだよ、ヒャハハハハ!」



「「………」」


 私と澄海くんは黙って見届けた


 霊能力者は特別なんかじゃない。異端なんだ。

 異端なものは世間から排斥される。

 澄海くんは、それをよく知っている。


 自身も白髪で赤目。時輝くんから執拗にいやがらせを受けている

 私達は、ネコミミなんてものを付けているし、私の目はオッドアイ。


 それに霊能力も備わっている。

 これを異端と呼ばなくてなんという。あきらかに普通ではない。

 イジメを受けないのは、それに対抗できる能力があるということだ。

 私達はクラスメートには霊能力があることは知られてしまっている


 だけど、それはあのクラスが奇跡的に『全員がオカルトに興味を持った』からでしかない。

 普通は、おっちゃんのように、クラスから爪弾きにされてしまうんだ。




 ………だから、おっちゃんは友達がいないんだ。




 排斥の理由は『普通とは違うから』


 澄海くんに嫌がらせをする時輝くんだって同じ理由で―――トキメキ?


 ガチリと記憶のピースが嵌る音がした。


 あー、そっかそっか。なんで気づかなかったかなー。

 雰囲気は似てるし、名前も似てる。匂いだって似てるわ。

 顔のそばかすも顔つきもそっくりじゃん。


 銅髪のキラメキは、トキメキくんのお兄さんかー。


 よし、明日学校であったら半殺しにしよう。



あとがき


トキメキ『な、なんでオレが!?』



 感想やイラストは随時メールアドレスにて受け付けております


 tassaso123*yahoo.co.jp



 ついった

@tassaso1



    ☆ここから割とイラストな話★



挿絵(By みてみん)

 


真田煌輝さなだきらめき


ステータス

部活動:サッカー部主将

ポジション:FW

年齢:17

因縁:岡田修

目つき:コンタクト嵌めわすれ

顔つき:イケメン、そばかす

スキル:不良。しかし話しやすさがあるため、友達はかなり多い

好きな人:樋口銅鑼夢アイドルグループ


備考

 主人公、澄海くんのクラスメイトである真田時輝トキメキの兄である


 修に対して多大なる憎悪を持っている

 憎悪が強すぎたため、修に怨念がまとわりつくほど



 弟のトキメキとの関係は、よくはない。

 キラメキは普通に接しているつもりでも、目つきが悪く、言葉よりも行動で示すタイプなので、トキメキは嫌われていると勘違いしている



挿絵(By みてみん)


鳴海竜也なるみりゅうや



 リューヤと呼んでやってください



ステータス


部活動:野球部副主将

ポジション:ピッチャー

年齢:17

因縁:岡田修

好きな人:巨乳

ストライクゾーン:13~27 だったのに………

スキル:不良。

髪:金髪


 備考


キラメキ団の不良である

 オタクが嫌い。

 ゆえに修が嫌い

 調子乗ってるやつが嫌い

 つまり霊媒師として成り上がった修が嫌い


挿絵(By みてみん)


迫田大地さこだだいち



ステータス

部活動:野球部部長

ポジション:4番キャッチャー

年齢:17

ストライクゾーン:オール

頭:よろしくない

スキル:不良



 備考


 『キラメキ団』命名の立役者



 アホ


 

 常にキラメキとピアスと共に行動し、好奇心に任せて活動する


 キラメキとピアスがしていることをして、二人が人を殴っていたら殴る


 そこに悪意はない。

 悪意がない分、悪質だけど。






 さ、2話くらいしたら3人が一緒に出てる絵を乗せるよ!



 ちなみに、3人が一緒に描いてある絵はコピックです



 さらにここでどうでもいいことを言うけど


 絵を描いてくださっている人。実はこの作品を読んでいません。

 こーゆーキャラ! って言ったら要望通りのキャラを作ってくれるのだっ!



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ