第62話 ★タマ、デートをしよう。おっちゃんと海に行こう!
「おっちゃーん、おかえりなさーい。」
「おう、ただいまタマちゃん。」
我が家の問題児様が純白の笑顔で俺様をお出迎えしてくれる。
あれ、俺はこんなキャラだったっけ?
「んお!? カレーの匂い!」
「んふふ~、今日は私ががんばったよー! 今日はちょっと帰ってくるの遅かったねー」
「んー? そうかもね。学校から自宅とは反対の、学校の最寄駅まで一緒にキャプテンやフユルギたちと歩いてたから。」
「なんでー?」
「フユルギが電車通学だからだよ。いつも俺を殺そうとして来るけど、なんだかんだで一緒にいると楽しいからね。で、電車が来るまで無人駅で駄弁って、『アデュー』って帰った」
「おっちゃんは友達がいないからねー。」
グサッと来た。でも事実だった。
「いたいいたい! おっちゃんごめーん!」
「ふーんだ、一生許してあげるんだからね!」
「許してくれるんだー。」
タマの耳を軽く引っ張ってから許してやった。
「あー、そうだー。今日ねー、ティモちゃんがプールの中に入れたのー。」
「お! がんばったなぁ、あとで誉めてやろう。タマちゃんはどないやったん?」
「やっぱり私はまだ水が怖いよー。」
「さよか。水の中に入ったティモ坊はどないやった?」
一度勇気を出して一緒にお風呂に入っただけでもう苦手を克服してしまった。
ティモ坊はいい子だな。肩車して走り回ってやろう。
「えっとねー、まだ水に顔を付けるのことができないみたい。でもすごいなー肩までなら水に浸かれるんだよー。それが私はできないんだもん。私にできないことを弟に先にこされちゃうのはねー。」
タマもタマで悩んでる。いい感じにお互いを刺激し合って成長してくれたら俺もうれしい。
「ティモにできることがタマにできないわけがない。といっても、すぐにできることでもないだろうし、頑張りなさいよ。」
「うーん、そのことでちょっと相談なんだけどー。」
「なんね?」
「おっちゃん。私と一緒にお風呂には入ろー?」
「!!」
幻聴が聞こえたみたいだ。風呂嫌いのタマが俺をお風呂に誘うなど、天変地異が起きてもありえ………るか。ティモに触発されたのだったら。
「かまへんよ。妹や娘に言われたい言葉だよこれ。やばい、涙が出てきた。もう無理やり放り込む必要がないのか。タマちゃんの成長におっちゃん涙目!」
「もー、アホなこと言ってないのー! 私だっていつまでも甘えられるわけじゃないんだよー? それにぃ、お風呂くらい一人で入れるようにならないと、おっちゃんに迷惑かけちゃうしね~。私はもうおっちゃんを傷つけたくないんだよー。」
儚く笑うタマの顔。
せやな。俺もあんまり死にたくないし、痛いのも嫌いだ。
クロちゃんに引っかかれてパックリと傷が開き、こんにちはきんにくん状態の左腕も藁人形に移してもいいんだけど、それは呪いだから不必要に乱発していいものじゃない。
欠損や死亡以外は極力藁人形を使うのは避けてるんだ。
藁人形との入れ替えは、俺の霊力が少ないからこそできる芸当。フユルギにはそう聞いた。聞いた話じゃイスルギさんも俺と同じことをしていたらしい。
それをフユルギに確認してみると『イスルギさんはイケメンだから何でもできる』って言われた。さすがにそれは訳が分からない。
問い詰めると、『大山家は総じて化け物ばかりだから気にするだけ無駄だ』とか言い放った。たしかに、大山の血を引いているフユルギも大概に化け物だった。黒魔術とか使うし。
澄海だって、4分の1は宇宙人とはいえ大山の血を受け継いでいる。正真正銘の化け物だ。
むしろ大山の血と宇宙人の血が入っている澄海はとんでもないヤツなのかもしれない。
話がそれた。風呂の話からどうしてこういう思考になったんだろう。
うむ、思い出せない。
「ふむ、お風呂ね。暴れないならいいんだが、少しは根性で押さえてくれよ」
「むー………努力はするよー」
「アホか。結果で示してくれ」
俺はタマの頭を撫でる。肌触りがよくてすごく好きだ。ふわっふわしてるんだよ?
いやー、気持ちいい!
「そういやタマちゃんや、今日は何曜日?」
「え? えっとねー、金曜日だよー。」
ちらりとカレンダーを見て確認してくれたタマ。
明日は土曜日か。明日はたしかバイトは入れてなかったはず。
タマもプールに入りたいけど入れないジレンマに囚われているだろうし、悩んでいるタマちゃんのために何かしてやりたい。
ということで心機一転するためにも、タマにはリフレッシュが必要だ! ここらで俺も兄らしく、妹のためにひと肌脱ぐか!
「そっか。………タマちゃん。おっちゃんは明日と明後日はバイトもないし、ちょっとデートをしよう。」
「………デート? ティモちゃんとクロちゃんも?」
「いーや、タマちゃんと二人で。」
「私がおっちゃんとー? ………犯罪?」
今自分のこめかみがピキッとした。大丈夫、キレてないよー。
「ロリコ「だまれ!」」
結構強めにチョップする。
「う~、冗談だよ~」
「おっちゃんがそげんことをしよると本気で思っとうとや!? ああん!?」
「すごんでも怖くないよー。」
「………ああん!?」
「それー、おもしろい顔だよー?」
「………ああん!?」
「………ぷっ! あははは! もうやめてー!」
『んふふ~』以外の笑いを聞けて満足した。そんなに面白い顔だったんだろうか。
鏡に凄んでみた。ん? おもしろくない。別に普通だ。
つまりタマは普通の俺の顔に笑ったのだ。ん? つまり俺の顔が面白いだと!? このやろう!
また高度なボケを身につけやがったな!
「タマ。土曜日は修行か友達と遊ぶ予定でもあったのか?」
「んーん。ないよー。」
「ほな行こうか。デート」
「もちろんだよー。どこに行くのー? 遊園地―? 一番近いのは熊本じゃなかったかなー。」
「いーや、Mランドではない。たしかそこの『魔女の館』は実際に幽霊が出るお化け屋敷だったかな。実際にテレビにも出てたし。」
小学校の修学旅行で一度行ったことがあったなぁ。
なつかしいな。あの時小学生だった俺は、不意に肩を叩かれて後ろを振り向いても誰もいなくて、めちゃくちゃ怖くて失禁したなぁ。
止まるはずのない3階でエレベーターが止まるし、出た場所は4階だし。
いやはや懐かしい。今はあの頃よりも霊感もあるし霊力も上がっている。
対抗する手段もあるからそれほど怖くないかもしれない
というか行かない場所を想像しても意味がない。思考を打ち切る。
「じゃあ、どこなのー?」
タマがデートの場所を聞いてくる。
気になるか? そりゃあ気になるよなぁ!
俺は勿体つけて目的地を告げた。
「一緒に海に行こう。泳ぐ必要はない。俺はただ、一緒に海を見に行きたいんだよ。」
あとがき
海編? いいえ、水泳編ですよ
これは水泳するためですから。
といっても、誰一人泳いでいませんがね
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ついった
tassaso1
☆ここから割とどうでもいい話★
ちょっとストックが増えてきました
3話分程度ですがね
それも、2500字程度しかなくてすみません
一日で5000文字以上かける人って化け物なんじゃないかと思います
どんだけ頭の中に正確な構図ができているのだ! ってね
僕はアホなので考えてもうまくいかないね
読者さんには申し訳がたちませぬ。すまない
さて、今回はティモ坊の完成版を乗っけるということでしたが、これがそうです!
か、かわいいいいいいいいいいいいいい!!
なにこの破壊力!
お座り上目使い頬染め『にゃん♪』
やばいやばい、鼻血が出るかと思った
あ、画像をクリックしたらおまけが見れます




